『夜明け告げるルーのうた』アヌシー国際アニメーション映画祭で最高賞!『この世界の片隅に』は審査員賞
フランスで開催されたアヌシー国際アニメーション映画祭2017で、湯浅政明監督の映画『夜明け告げるルーのうた』が長編部門の最高賞にあたるクリスタル賞を受賞した。 片渕須直監督の『この世界の片隅に』も審査員賞に輝き、長編部門で日本の作品2作が受賞する快挙となった。
カンヌ映画祭からアニメ部門が独立する形で1960年に設立されたアヌシー国際アニメーション映画祭は、世界最大にして、ザグレブ、オタワ、広島と並ぶ世界四大アニメーション映画祭の一つ。世界中からアニメーション関係者が集まり、ビジネスの場としても注目されている。
『夜明け告げるルーのうた』は、寂れた漁港の町・日無町(ひなしちょう)を舞台に、心を閉ざした中学生の少年と、純真な人魚の少女の出会いと別れを描いた爽やかな感動作。発表に先立ち現地で行われた上映会では、音楽に合わせてキャラクターがリズミカルな動きをみせるシーンでは手拍子が起こり、上映後は割れんばかりの拍手が湧き上がるなど好評を博していたという。
長編部門のグランプリを日本の作品が受賞するのは高畑勲監督の『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994)以来実に22年ぶりで、湯浅監督は「スタッフキャストの皆様おめでとう!! 応援してくださった方々もありがとうございます。良かった!!」と喜びをあらわにしている。
また、審査員賞を受賞した『この世界の片隅に』は、戦時中の広島県呉市を舞台に、ある一家に嫁いだ少女が日々を明るく生きようとする姿を描いたアニメ。片渕監督は「海外では、予備知識が無いと理解できないと言われていました。日本ローカルの舞台や時代を描いた映画なのですが、今回の受賞で人々の心がつながるのだと実感できました」とコメントしている。『この世界の片隅に』は15日に日本での観客動員数が200万人を突破したばかりで、うれしいニュースが続くことになった。
このほか、卒業制作部門では冠木佐和子監督の『夏のゲロは冬の肴』が審査員賞を受賞している。(編集部・市川遥)