エドガー・ライト、『アントマン』は観ていないしこれからも観ない
エドガー・ライト監督が、脚本執筆から8年間携わったものの、創造上の相違で降板したマーベル映画『アントマン』(2015)について、観ていないし、これからも観るつもりはないとUPROXXに語った。
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完成した『アントマン』を観たかとの問いに、ライト監督は「観なかった。観ていないし、予告編すら観ていない。それって僕に『元カノが(他の男と)ヤッているところを見たいか?』って聞いているようなものだよ。答えはノー。僕はいいよ、ってこと」とコメント。飛行機で隣に座った人が『アントマン』を見始めようとしたときには、すぐさま自分のラップトップコンピューターで仕事に取り掛かったという。
「あの映画について言えるのは、脚本家としてクレジットされてうれしいということ。だって8年も取り組んだわけだから」と少しはいいこともあったとライト監督。主演のポール・ラッドとは今でもいい友達で、少し前にニューヨークで夕食を共にしたばかりだといい、「あれ以来、ちゃんと座って話すのは初めてだった。彼には『あの映画を観ていないし、これからも観ないけど、君が「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」に出ているのは見たよ。君が一番面白かった』と言ったよ。彼は僕が観ていないことを知っていたけどね」と明かした。
ちなみに、後を継いだペイトン・リード監督とは特に何も話しておらず、「最後に伝えたのは『どうか僕のストーリーボードをただ使うことはしないで』ということだけ。それ以来、彼とは話していないよ」とのこと。「僕はこの映画を監督できなかったことを全く後悔していない。全くだ。ただ一つ後悔しているのは、僕の時間と、(共同で脚本を執筆していた)ジョー・コーニッシュの時間が無駄になったことだけ。それだけだよ」と続けた。
とはいえ、8年取り組んだ企画から去り、他の監督がそれを完成させるところを見るのは大きな苦しみだったことは間違いない。ライト監督は「あの映画を降板したとき、僕のエージェントに『この映画が公開されるときに、他の映画を作っていられたら、僕は大丈夫だと思う』と言った。でも実際、公開されたとき、まだ「ベイビー・ドライバー」の撮影は始まっていなかったんだ。それが一番きつかったよ。ゴーサインが出るまで、それから4か月かかったんだ。だからそれが一番きつかった」とも打ち明けた。
「あの映画をやらなかったことを全く後悔していない。脚本のギャラももらっているし。だからみんな、僕のためにあまり泣かないでほしい。代わりにオリジナル映画を作れたし、幸せだよ」と念を押したライト監督。そうして作り上げた新作『ベイビー・ドライバー』(8月19日日本公開)は犯罪組織の“逃がし屋”として活躍する若き天才ドライバー(アンセル・エルゴート)の姿をロックミュージックの数々と共に描いたカーチェイス映画で、批評家から絶賛され“エドガー・ライトここにあり!”というところを見せている。(編集部・市川遥)