神田沙也加、歌は「得意と言えない」自信のなさが原動力
厳しいオーディションを乗り越え、数々のミュージカル作品で輝きを見せてきた女優・神田沙也加(30)。舞台で培ってきた表現力を生かし、近年ではさまざまなジャンルで活躍しているが、特に自身が「最もなりたいと思っていた」という声優業で、大きな作品への出演が続く。女神テレサの声を務めている『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』もその一つだ。先日結婚を発表し、公私ともに充実の神田だが、仕事をする上での原動力となっている、ある考えがあるという。
神田が声優を目指し、養成所に通っていたということは広く知られているが、そこには「機会があればすぐに手を挙げられるように、しっかりとスキルアップしておこう」という強い思いがあったという。ミュージカルもゼロからのスタートで、オーディションを受け続け、一つずつステップアップし、ライフワークとしてその立場を確立した。また、ミュージカルで培った歌唱力は、もともと関係者の間では評価が高かったが、『アナと雪の女王』で披露した伸びのある歌声により、その実力は多くの人に知れ渡った。
非常にマルチな活躍を見せる神田だが、自身の課題を次々に挙げていくなど、自己評価はあまり高くない。「声優業はまだ経験がそれほどありませんし、アカデミックな努力を怠らないように心掛けています。さらに、観客の気を削がないように、しっかり物語の世界観になじむような声を作れるようにしたいです」と目標を掲げる。
また、第二章を迎える『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』では、エンディング主題歌「月の鏡」を担当しているが、「歌というのは、常にメンタルと連動していて、体のコンディションなどで大きく左右されてしまうんです。まだパターンがつかめなくて胸を張って『(歌が)得意です』と言えないんですよ」と苦笑いを浮かべる。
こうした発言はネガティブにも聞こえるが、「わたしは『ここが長けている』と思っちゃうと追求するのをやめちゃうので、得意だと思わないようにしているんです」と本音を明かす。さらに「物事に対して自信がないことが、わたしの原動力になっています。自信がないから、克服しようと状況を分析したり研究したりするんです。こういったことは自分自身好きでもあるし、今後もずっと続けていくと思います」と自身を見つめる。
そんな研究心は、テレサとして歌う『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち/第二章 発進篇』のエンディング主題歌にも生きている。「テレサという神々しい存在を意識しながら、歌詞がとてもきれいな日本語で前向きなものなので、そのさじ加減を意識しながら、試行錯誤を繰り返しました」と妥協なく取り組んだことを明かす。
「第七章まで続く長い期間、同じキャラクターでいられることの贅沢さをかみしめています」と語った神田。同時に「しっかりテレサという役を受け入れてもらえるように取り組んでいきたい」と立体的なキャラクターを作っていくことを誓っていた。(取材・文:磯部正和)
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち/第二章 発進篇』は6月24日より期間限定で劇場上映中