女優・吉高由里子の魔性の魅力…監督語る“最大の武器”とは?
主演映画『ユリゴコロ』(9月23日公開)で、悲しき“殺人者”役に初挑戦した女優・吉高由里子。メガホンを取った熊澤尚人監督は、キャスティング理由に、吉高が持つ“透明感のある魔性の魅力”を挙げる。そして、それを吉高の女優としての最大の武器と語る熊澤監督。撮影で吉高は自ら自分自身を追い込むほどの姿勢で、狙い以上のハマリぶり見せたという。
過激なシーンにも挑んだ初主演作『蛇にピアス』(2008)で脚光を浴びた吉高だが、2014年にはNHK連続テレビ小説「花子とアン」に主演し国民的ヒロインの座を獲得。CMやバラエティー番組で見せる親しみやすい笑顔や、ドラマ「東京タラレバ娘」でふんしたような等身大の女性を好演する印象も強く、最近の吉高のイメージからすれば、少し意外とも捉えられる本作の役どころ。
しかし、熊澤監督は“完全にハマリ役”とキッパリ。「ご本人がどう感じられているかはわかりませんが、ぼくにとっては期待以上でした。吉高由里子さんという女優が、透明感のある魔性の魅力という最大の武器を本来持っているはずだと確信してキャスティングしました」と断言し、実際の撮影では「狙い以上にすばらしい輝きを放ってくれた」と語る。
吉高が演じるのは、生まれながらに人間の死を心のよりどころとし、殺人という行為から逃れる術を持たない女性・美紗子。「背筋が寒くなるような表情、セリフもなく何の動きもないシーンでの表情やたたずまい一つとってもすごく神秘的で、美紗子という普通の人には理解しづらい人間を実存させてくれている。小説では想像のものであったのが、本当に存在するんだと思わせる説得力はすごい」と熱弁し、「そういう意味ではほれちゃいますよね」と語るほどに熊澤監督は吉高の演技に圧倒されたそう。
実際、撮影は過酷なものだった。作品のダークさに現場の雰囲気が持っていかれるのは避けられない。吉高は監督の想像を超えるほど、極限に向かい、美紗子になりきるために、自分を追い込んで演じたのだった。美紗子の運命の相手・洋介役の松山ケンイチもふくめ、演じることに集中するあまり食事量も減り、まさに“飢餓状態”で撮影に臨んでいた。そうした俳優陣のプロ意識には熊澤監督も畏敬の念を抱かずにはいられなかったそうだ。(編集部・小山美咲)