『セデック・バレ』監督、6年ぶり新作はラブストーリー!「愛情がわかってない」の言葉に奮起
台湾映画史上最高額を投じたアクション大作『セデック・バレ』や製作・脚本で参加した永瀬正敏主演作『KANO ~1931海の向こうの甲子園~』などで知られるウェイ・ダーション監督の6年ぶりとなる新作が、『52Hzのラヴソング』のタイトルで日本公開されることが18日、恵比寿のLIQUIDROOM (リキッドルーム)で行われた来日記者会見で発表された。
感動の野球ドラマ『KANO ~1931海の向こうの甲子園~』
今年の旧正月映画として台湾で公開された本作は、ほかのクジラとは鳴き声の周波数が違うため、ひとりぼっちで大海をさまよっているといわれる「52ヘルツの鯨」がモチーフ。バレンタインデーの1日を通じて、花屋の女の子やチョコレート店の男の子たちが織りなすさまざまな愛の形や出会いを描いたラブストーリーとなる。
この日の会見はスペースシャワーTV主催のイベント「台ワンダフル」内で実施。大勢の来場客の前で本作の楽曲を歌うミニライブを行っていたキャスト陣が、本作の日本公開決定を発表すると、会場からは大きな歓声が。
メインキャストは台湾で活躍するミュージシャンたちで、台湾の人気バンド宇宙人 (Cosmos People) の作詞・作曲およびボーカル&キーボードを担当するシャオユーを始め、元・棉花糖のシャオチョウ、『KANO』で主題歌を歌ったトーテムのスミン、小男孩樂團のミッフィーなど現地の人気スターが勢ぞろい。彼らの起用についてダーション監督は「(2008年に発表した)『海角七号 君想う、国境の南』の時も歌手を役者として起用したことはあったので、そこに不安はなかった。特に今回は音楽映画なので、(役者が)歌えないと困りますからね。演技というものは舞台であろうが、スクリーンであろうが、関係ない。演技が好きかどうかだし、とにかく一生懸命やってくれればいいなと思いました」と語っていた。
また「もともとこの映画を撮る予定はなかった」というダーション監督。「でもドイツに滞在していたとき、激しい時差ボケの中、ある朝に花が咲く美しい景色を見て『なんてステキな景色なんだろう、何か書かなきゃ』と思いたち、ある男の子と女の子のラブストーリーを少しずつ書いていったというわけなんです」と映画化の経緯を説明。さらに「実は今までのわたしの映画をご覧いただいた方から、監督は愛情というものがわかっていないと言われたことがありまして。でもわたしだって愛情はわかるんだと証明したかったということがあります」と笑ってみせた。(取材・文:壬生智裕)
映画『52Hzのラヴソング』は12月16日より渋谷のユーロスペースほか全国順次公開