卒業後も「うたのお兄さん」横山だいすけの生き方と今後の話
今年3月に「おかあさんといっしょ」のうたのお兄さんを卒業し、現在歌手・俳優・タレントとしてマルチな活動を行っている横山だいすけ(34)だが、彼の根幹には“うたのお兄さん”が根付いている。「生き方の核に『うたのお兄さん』がある」と言う彼が、今後の活動や新たな挑戦について語った。
「卒業したから『うたのお兄さんではなくなった』という気持ちは、自分の中では全くないんです」と話す横山。周りからは仕事を長く続けていく上で「うたのお兄さん」のネームを外した方が……と勧められたこともあるそうだが、「僕としては『うたのお兄さん』ということは誇りにしていて、自分の真ん中に置いておきたい」とのこと。「子供たちや親御さんに歌を届けていくことが自分の生きがいで、何よりの喜びなんです。それをずっと続けていきたくて」。
もともと子供と歌が好きだった彼は、高校2年生のときに児童に与える歌の影響と重要性の資料を見つけたその日、帰宅した家でたまたま弟が観ていた「おかあさんといっしょ」に、「これだ!」と感じたという。卒業後も、子供や教育業界を盛り上げていく助けになればという思いを胸に活動しているそう。そしてそこには「今まで『だいすけお兄さん』としてやってきたところを、さまざまなものに挑戦していく中で『横山だいすけ』としての引き出しを見いだせたらいいなと思っているんです」という考えもあった。
その新たな引き出しとなった一つが、現在公開中の『映画くまのがっこう パティシエ・ジャッキーとおひさまのスイーツ&ふうせんいぬティニー なんだかふしぎなきょうりゅうのくに!』で初挑戦した映画主題歌。作品について「本当に2作品とも心がほっこりできるし、誰かのために頑張れるというテーマがある」と説明する横山だが、今回はうたのお兄さん時代とは一味違う歌い方にもチャレンジしたという。「『おかあさんといっしょ』では表現をどうつけていくかを大事にしていて、(今回の主題歌の)『さよならだよ、ミスター』ではそのアプローチで歌ったところもありますが、Cメロのフレーズでは表現を一回全部なくしてみてと言われて」。
「今までは『お兄さん』として歌ってきましたが、この曲はいつか親の元から独り立ちしていく子供たちへ贈るメッセージ。いつかは離れていくというさみしさを歌うことも、『おかあさんといっしょ』時代ではあまりなかったので、新しいなと思いました。親御さんにその部分も感じ取っていただけると、お子さんの今を大切に思っていただけるのではないかなと思います」。
だいすけお兄さんとしての色に、新たなチャレンジで生まれた色をブレンドして作られていく「横山だいすけ」の色。さまざまな人との出会いの中で「化学反応が起きている」と笑う彼は、「いろんなことをやってみたいんです」とも意気込む。「ドラマも、今まで経験したことがなかったのでビックリしましたが、全く歌につながらないかというとそうではなくて、何かしらつながるところがある。本気で挑戦してみることで得られるものはたくさんあるので、何か機会があれば臆することなく挑戦できたらいいなと思っています」とにっこり。
今回は初映画主題歌だったが、新たに目指したい“初”は「映画出演」。ずっと映画が好きで今も映画館に通っているという彼が、もしスクリーンで新たな顔を見せたなら。そこではどのような化学反応が起こっているのだろうか。(編集部・井本早紀)