土屋太鳳、なぜそんなに頑張れる?ストイックに努力し続けるワケ
鳥人間コンテストを題材にした映画『トリガール!』で、二人乗り人力飛行機のパイロットとなるヒロインを演じた土屋太鳳。過酷なトレーニングにも果敢に挑んでいくその熱い役どころは、何事にも全力で打ち込む努力家な彼女のパブリックイメージに近い。女優・土屋太鳳は、一体なぜそんなに頑張るのか。頑張れるのか。
本作で土屋が演じたのは、ひょんなことから大学の人力飛行サークルに入部し、パイロットとして大空を飛ぶことになる鳥山ゆきな。コンビを組むヤンキーかぶれの先輩・坂場大志(間宮祥太朗)とは、顔を見れば罵り合う犬猿の仲だが、それが逆に彼女の負けん気に火をつけ、脚力を鍛えるロードバイクの走行やゲームセンターでのダンスバトル、さらには口喧嘩まで全力を傾けて坂場を打ち負かそうとする。その姿勢が奇しくも彼らの絶妙なコンビネーションを作り上げていくところが本作のおもしろいところだが、そこには公私にわたって何事にも全力投球する土屋の素顔が重なって見える。
土屋といえば、昨年の「オールスター感謝祭'16」の「赤坂5丁目ミニマラソン」でゴール後に倒れ込むほどの激走を見せ、その姿に号泣する出演者も出るなど感動を巻き起こしたことが記憶に新しい。体育大に通う現役の大学生として、女優の仕事と学業を両立させる忙しい日々。ファンにとってはすっかりおなじみとなっているが、ブログやInstagramを通じて作品への思いをかなりの長文で伝えることも欠かさない。そんな彼女の姿を知っている人の間からは「なぜ、そんなにストイックに頑張れるの?」といった声も聞こえるが、そこには過去の大きな体験と感動が影響しているようだ。
「高校の創作ダンス部は全国大会を目指す強豪で、毎日ダンスに打ち込んでいました」と土屋は振り返る。彼女が所属していたのは、全国レベルの実力を誇る創作ダンス部。「合宿では足から血が出るほどで、すごく辛かった」と明かしつつも「あのときの自分がなかったらいまの自分はいないと思います」と真っすぐな目で断言する。そのときにつかんだ確かな実感が今日の彼女の力になっているから、彼女はすべてのことに全身全霊で挑むのだろう。
今作のクライマックスといえる鳥人間コンテストの飛行シーンの撮影でも「テストも本番も本気でした。力を抜けなかった」と言い切り、すべての撮影後にはやり切ったことを代弁するように涙がこぼれたという。そんな土屋の頑張りを見て、共演者の間宮祥太朗は「彼女の本気は周りを巻き込む力がある」と強調する。「それが他人事に思われちゃう人もいるけど、太鳳はみんなが放っておけなくなるし、引っ張られてしまうんですよ」。その言葉こそが、女優・土屋太鳳を言い当てているのではないだろうか。彼女の頑張りが、周りの人たちを奮い立たせ、彼らの奮起が土屋をさらに熱くしている。映画『トリガール!』でも、そんなすてきなエネルギーの循環は行われている。(取材・文:イソガイマサト、写真:高野広美)
映画『トリガール!』は9月1日より全国公開