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辛口の観客たちも称賛!脚本家親子、それぞれの作品に映画祭沸く

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『空の瞳とカタツムリ』の脚本を担当した荒井美早
『空の瞳とカタツムリ』の脚本を担当した荒井美早

 映画『Wの悲劇』『さよなら歌舞伎町』など数々の名作を生み出してきた脚本家・荒井晴彦の最新作『幼な子われらに生まれ』(三島有紀子監督)と、彼のまな娘・荒井美早が脚本を担当した『空の瞳とカタツムリ』という、父娘それぞれが手がけた作品が、大分県由布市で開催された第42回湯布院映画祭の最終日を彩った。

【写真】父・荒井晴彦の手掛けた『幼な子われらに生まれ』

 俳優ワークショップのアクターズ・ヴィジョンが制作した『空の瞳とカタツムリ』は、『サンデイ ドライブ』『フレンチドレッシング』の斎藤久志監督の最新作。テレビドラマ「深夜食堂」で脚本家デビューを果たした荒井美早にとっては、初の劇映画となり、高校生の時に経験したとある出来事がきっかけで潔癖症となった十百子(中神円)と、不特定多数の男性と行きずりの行為を繰り返す夢鹿(縄田かのん)が、互いを求めながらも傷つけ合うさまを、繊細な描写で描き出す。

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 プロデューサーの若杉正明によると、『空の瞳とカタツムリ』というタイトルは、故・相米慎二監督の遺作『風花』のタイトルを変更しようという案が浮上した際に、最終候補まで残ったもの。結果としてタイトルは『風花』のままとなったが、「自分は相米さんの親戚弟子のようなもの」(斎藤監督)、「一回くらい相米が俺たちのために何かをしてくれてもいいんじゃないの」(荒井晴彦)ということで、このタイトルを引っ張り出し、本作につけることになったという。

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『幼な子われらに生まれ』も称賛が集まった脚本家・荒井晴彦

 上映後に行われたシンポジウムでは、辛口で知られる湯布院の観客たちの口からも、「この映画を観ることができて、湯布院に来てよかった」「今年のベストワン候補」「『アデル、ブルーは熱い色』を思い出した」など次々と絶賛コメントが飛び出し、評判は上々。その様子に出演者の中神円が思わず涙ぐむひと幕もあった。

 そんな中、本作に出演する三浦貴大のキャスティングについて質問が及ぶと、荒井美早から「実はわたし、三浦さんと幼稚園の同級生なんです」という告白があり、会場はビックリ。「彼がテレビに出ていた時も、貴大君が出ていると思って、ちょっと意識していたんです。そんな時に、プロデューサーが三浦さんのキャスティングを頑張っていると聞いて、ぜひお仕事をしたいと。そういう感じだったんです」と意外な接点を明かした。

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 そんなシンポジウムもいよいよ終盤。最後のコメントを求められた荒井美早は「16歳の時から映画祭の実行委員として隅っこに立っていました。シンポジウムというと、タバコの煙と怒号というイメージがあったので、針のむしろみたいな感じだったんですが、皆さんのお話を聞いて、自分の書きたかったものを、こんな美しい女優さんたちに形にしてもらえることは幸せなことなんだなと思いました」としみじみ。

 そして次のプログラムは父・荒井晴彦の手による『幼な子われらに生まれ』。三島監督と共に出席した荒井晴彦は、くしくも家族をテーマにした映画を手がけたことに「家族なんてなるべくなら持たない方がいいもんじゃないかと思うんですよ」とうそぶきながらも、終始ご機嫌な様子。映画祭の観客からも称賛の声が続々と寄せられるなど、父娘で映画祭を盛り上げた。(取材・文:壬生智裕)

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