浅野忠信、歓喜!『幼な子われらに生まれ』モントリオール審査員特別賞
浅野忠信と田中麗奈が出演する映画『幼な子われらに生まれ』が、カナダで現地時間4日まで開催されていた第41回モントリオール世界映画祭のコンペティション部門でグランプリに次ぐ審査員特別賞グランプリを受賞した。日本映画としては、2014年の吉永小百合主演作『ふしぎな岬の物語』以来の受賞となる。
作家・重松清の小説を脚本・荒井晴彦、監督・三島有紀子で映画化。再婚した中年サラリーマン・信(浅野)が、2人目の妻・奈苗(田中)とその連れ子、前妻と暮らす実の娘、そして新たに授かった命との関係の中で、家族の形を模索する姿を描く家族ドラマで、宮藤官九郎、寺島しのぶらが脇を固める。
現地時間1日と3日の上映では、本年度の映画祭で最高の動員数を記録。主演の浅野は、普遍的な家族の姿が国境を越えて支持されたことに「とても嬉しいです! モントリオール世界映画祭という大きな映画祭で審査員特別賞をとれたのは、三島監督の粘り強さと三島組という1つの家族の支えがあったからだと思います! みなさんが劇中の僕らの演じた田中家に幸福を運んでくれました!」と歓喜。
また、三島監督も「海外の皆さまにも伝わったんだなあと、とても嬉しくて、とてもありがたくて、この喜びを、関わってくださったみんなで分かち合いたいです。スタッフ、キャストのみさなま、おめでとうございます。そして、この世に生きるすべての『DEAR ETRANGER』(英題)=親愛なる異質な人へ…ありがとうございます」と喜びのコメントを発表している。
映画祭の審査員は本作について「『DEAR ETRANGER』という題名に呼応するかの様に達者な演者が様々な側面を見せる事で、一見静かにスローに見える冒頭からの30分間に、実は水面下で複雑な緊張が張り巡らされている事に気付かされる。後半に入るとその緊張の糸が切れたり弾けたりして、一体それぞれのエレメントはどこに行くのだろうと思わせる。そこに一貫してイノセントな役柄を通しているのが、一番下の子どもであり、大人の世界で何が起ころうとも動じない。故に対比が一層増幅されるかのようである。英語とフランス語を交えたタイトル『DEAR ETRANGER』はモントリオールの日常にフィットしている。」と評価している。(編集部・入倉功一)
映画『幼な子われらに生まれ』はテアトル新宿・シネスイッチ銀座ほか全国公開中