蒼井優、不倫に溺れるゲスヒロインがトロントで高評価!
第42回トロント国際映画祭
現地時間13日、第42回トロント国際映画祭で蒼井優が不倫に溺れる身勝手なゲスヒロインを演じた映画『彼女がその名を知らない鳥たち』のワールドプレミアが行われた。上映前にプログラマーが蒼井の演技の素晴らしさに言及し、上映後のQ&Aに登壇した白石和彌監督(『凶悪』)に「主演女優に感服した。彼女は唯一の候補だったのか?」と質問が飛ぶなど、高評価を受けていた。
「ユリゴコロ」などの沼田まほかるの人気小説を映画化した本作。15歳年上の陣治(阿部サダヲ)と同棲している十和子(蒼井)は、下品で地位も金もない陣治をさげすみながらも彼の稼ぎに依存。いまだ思いを断ち切れない昔の恋人・黒崎(竹野内豊)に似た妻子持ちの男(松坂桃李)と出会うや、彼との情事に溺れる。そんな中、十和子は警察から黒崎の失踪を知らされ、佐野が関係しているのではないかと不安を抱き……。
体当たりの演技を見せた蒼井のキャスティングについて聞かれた白石監督は「原作を読んで彼女の顔が思い浮かんだんです。彼女がこれを撮った時、ちょうど30歳くらいだったのですが、節目の年齢で、彼女の今までの仕事を見ていても“女優として一つステップアップしたい感情”というものがあるんじゃないかなと思い、僕の映画には彼女がどうしても必要だとチョイスしてオファーしました」とコメント。「なので他の人にはオファーしていないのですが、彼女でなければ成立しなかった映画かなと思います」と語る。
このほかQ&Aでは「この映画はすっごいおめでとう」(※カタコトの日本語で)、「とても気に入りました。構成が素晴らしい。陣治(阿部)は守護天使なのではないかと思いました。とても感動しました」といった声が上がるなど『彼女がその名を知らない鳥たち』はトロントの観客の心に響いた様子。「陣治の愛がテーマだと思うか?」との問いに、白石監督は「そうですね。陣治の愛もそうですし、大切なものはすぐ隣にあるというか……。日本の芸能のスキャンダルは不倫の全盛期を迎えていまして、そうしたニュースを見ている中で、真実の愛はフラフラ~っと来たイイ男よりも、僕みたいなブサイクな男にあるんじゃないかと思ったので、それが一つ大きなテーマです」と答えて会場を沸かせていた。(編集部・市川遥)
第42回トロント国際映画祭は現地時間17日まで開催