ヴィクトリア女王とインド人の友情…『クィーン』監督の新作
映画『クィーン』のスティーヴン・フリアーズ監督が、新作『ヴィクトリア・アンド・アブドゥル(原題) / Victoria and Abdul』について、アリ・ファザールと共に9月13日(現地時間)ニューヨークのAOL開催イベントで語った。
本作は、宮殿の式典でインド硬貨を渡すためにイギリスに派遣されたインド人アブドゥル・カリム(アリ)と、彼を気に入り使用人として雇うことにしたヴィクトリア女王(ジュディ・デンチ)の友情の物語。作家シャラバニ・バスの著書「Victoria and Abdul: The True Story of the Queen's Closest Confidant(原題)」を基に、『リトル・ダンサー』の脚本家リー・ホールが脚色した。
メガホンを取る決め手となったのは脚本の面白さにあったというフリアーズ監督。「ヴィクトリア女王とアブドゥルの関係は全く知らなかったけれど、映画化するのには素晴らしい内容だと思ったんだ。特に(男性の側近が多い中での)ヴィクトリア女王の外交は、同情に値すると思ったね」と話しながらも、ジュディ・デンチが主演でなければ、監督を務める気はなかったというこだわりも明かした。
アブドゥルがソーシャル・クライマー(立身出世を狙う野心家)と言われていたことについて、アリは「僕が今作に興味を持った理由の一つはそこだったよ。誰もがいい子ぶっているわけではないし、ソーシャル・クライマーであることは悪いことではない。確かに、ご都合主義者はネガティブな言葉に思われがちだけど、誰もがご都合主義な要素を持っているから、現在でも今作のようなストーリーが反響を呼ぶのだと思うんだ」と答えた。
大女優ジュディとの共演は、彼女のように演技を自分のものにしなければいけなかったと語るアリ。「今回、僕は2か月もの長い間、厳しい過程のオーディションを受けたんだ。ようやくセットでジュディに会うと、本当に演技が素晴らしくて、僕の演技さえもよく見せてしまうから、仕事も容易だったよ」と振り返った。また、「(シーンごとに)新たな演技プランを考案し、パターン化した演技さえも壊そうと次々トライしていたよ」と彼女の演技に対する姿勢に感心したことも明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)