英レインダンス映画祭、平柳敦子監督『オー・ルーシー!』で開幕!
現地時間20日、ロンドンで第25回レインダンス映画祭が平柳敦子監督の映画『オー・ルーシー!』の上映をもって開幕した。上映後には平柳監督と出演のジョシュ・ハートネットが登壇し、観客からの質問に答えた。
レインダンス映画祭はヨーロッパ最大級のインディペンデント映画祭で、新人発掘を掲げ、毎年9月から10月にかけて開催されている。イギリスという場所柄からか音楽関連の映画やゲストも多く、クールな映画祭としても知られる。
その記念すべき25回目のオープニングを飾った『オー・ルーシー!』は平柳監督の初長編映画で、ニューヨーク大学の卒業制作として手掛けた短編映画(カンヌをはじめ数々の賞を受賞)を基にしたもの。第70回カンヌ国際映画祭、第42回トロント国際映画祭でも上映された話題作で、姪(忽那汐里)の頼みで英会話教室に通い始めた少々やさぐれたOL(寺島しのぶ)が、アメリカに行ってしまった英語教師(ジョシュ)と姪を、姉(南果歩)と追うことになるコメディータッチの人間ドラマだ。平柳監督が留学生として過ごしたロサンゼルスと、東京が舞台になっている。
ジョシュは本作に参加を決めた理由を「エージェントから話が来て、脚本を読み、短編を観て『もちろん!』と監督に電話したんだ」と述懐。一方の平柳監督は「ちょうどロケハン中でマリファナの匂いのするモーテルにいたら、『ジョシュ・ハートネットから電話です』と言われて『何!?』という風でシューリアルな瞬間でしたね」と打ち明ける。
他にも英語教室に通う男性を役所広司が演じるなど実力派俳優がそろい、それぞれが非常に良く役にはまっている。平柳監督は「幸運な偶然が重なって、わたしは出会うべき俳優に出会え、俳優は演じるべき役に出会えました。変に思われるかもしれませんが、映画の神様を信じています」と喜びを表した。
笑いにくるまれた映画だが、人の侘しさ、寂しさも描かれ、自殺にかかわるシーンが複数登場する。「わたし自身、自殺を目撃したことがあります。シンガポールで18歳の少女が18階から飛び降りました。あまりに衝撃的で、誰かに聞いてもらわずにはいられませんでした。携帯で母親と口論中だったそうです。8、9割の自殺は衝動的なもので計画的なものではないと聞いたことがあります」という監督の経験が生かされた映画になっている。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)
映画『オー・ルーシー!』は2018年初春公開