「FAIRY TAIL」新作ある?真島ヒロ「もしかしたら」言及
「RAVE」「FAIRY TAIL」などの漫画家・真島ヒロが、ニューヨークのジャパン・ソサエティー開催イベント「真島ヒロ:『FAIRY TAIL』の世界」のQ&Aで作品への思いを語った。
【写真】『劇場版 FAIRY TAIL -DRAGON CRY-』
全世界で6,000万部以上の発行部数を誇る「FAIRY TAIL」は、魔法使い集団のギルド(組合組織)「妖精の尻尾(フェアリーテイル)」に所属する、炎を自在に操る滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)ナツと、仲間たちの活躍を壮大な世界観で描いたファンタジー漫画。
各編でどのようにストーリー構成をしているのか。「編ごとに、目立たせたいキャラクターを決めて、そのキャラクターにスポットライトを当てるように話を作ります」と真島。また、新たなキャラクターを作り上げていく過程については「僕の友人をモデルにしたキャラクターがすごく多いですね。僕自身をモデルにすることもありますし、若いとき自分は造形魔導士グレイに似ていると思っていましたが、今の僕は『青い天馬(ブルーペガサス)』の一夜(=ヴァンダレイ=寿)みたいです」と笑顔で語った。
「FAIRY TAIL」に登場するカップルについては「いろいろな人に、このキャラクターとこのキャラクターをくっつけてくださいと言われますが、作中で描かれているカップルは、僕は全部好きです」と話しつつも、最も気に入っているカップルを問われると「最終的には、黒魔導士ゼレフと『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』の初代マスター、メイビスのカップルが好きですね」と明かした。
最初の作品「RAVE」シリーズの頃は難しい時期もあったという真島。「それでも(編集)担当者とディスカッションを繰り返していくうちに、頭の中で自分が今面白いと思っているものを、とりあえず一番先に描いていこうと決めたんです。それをやるようになってからは、評判が上がり、その手法はこの『FAIRY TAIL』まで引き継がれています」と話す。続けて、「今まで僕が描いてきた漫画を合わせて、一つの思想というものが出来上がっていると思います。だから、一つの思想にとらわれずに、いろいろなものを取り入れていると思います」と説明した。
漫画のスタイルが、始めた当初と今ではかなり異なる点については「画力を上げていくのは一般的で、それも若いうちの方が上がり方が大きいです。年を取ると、自分の画風が固まってしまうので、それは良いところも悪いところもあるけれど、僕は運よく若いときにデビューできたので、ちゃんとスキルアップして今のクオリティーになったと思います」と分析した。
日々の仕事の流れについては「1日だと仕事の内容で(流れも)異なってくるので、1週間で説明します」と前置きし、「まず、日曜日にネーム(漫画を描く際のコマ割り、コマごとの構図、セリフ、キャラクターの配置)を描きます。月曜日は編集担当と打ち合わせをして、ネームを完成。火曜日に原稿の下書きをし、水~土曜日にかけて原稿をやったり、カラーをやったりします。休みはどこだっけ(笑)?」と冗談を交えつつも「でも毎日、しっかり寝ていますよ」と説明した。また、仕事場(オフィス)についても「半分が仕事をするところで、残り半分は映画を観たり、ゲームをしたりする場所です」と長時間仕事をしながらも、息抜きできる環境があること明かした。
アメリカのポップカルチャーにも影響を受けているそうで、今、気になっている作品はHBOの「ゲーム・オブ・スローンズ」だという真島。「日本で第1シーズンが始まったときから観ています。今回でニューヨークは3回目になりますが、もうちょっと英語を勉強したいですね」と漏らす一幕も見せていた。
「FAIRY TAIL」の連載終了後、次の世代の「FAIRY TAIL」などを描く気持ちなどはあるのかとの質問には「最近、描き終わったばかりなので、今は全くそういうことを考えていないですが、たくさんの人が続きを観たいとか、そんな声が増えてきたら、もしかしたら『FAIRY TAIL』の世界はまだ続いていくかもしれないですね。僕が描くかはわかりませんが……」とファンを期待させる言葉を残した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)