菅田将暉、過酷なボクシング撮影で「人を超えた」
俳優の菅田将暉が21日、都内で行われた映画『あゝ、荒野 後篇』の初日舞台あいさつに、岸善幸監督と登壇。あいにくの雨にもかかわらず詰めかけた観客に対し、菅田は「先週まで暑かったのに、今週、東京はいきなり40年ぶりの寒さとかって、この体をいじめてくる感じは『荒野』ぽいって思ってたんです」とねぎらいつつ、肉体改造して臨んだ過酷な撮影エピソードを披露した。
本作は、歌人・劇作家の寺山修司が書いた長編小説を、舞台を2020年の東京オリンピック後に置き換えて映画化したもの。少年院に入り挫折を味わった新次(菅田)と、吃音(きつおん)や赤面症に苦しむバリカンこと建二(ヤン・イクチュン)が、ボクシングを通して出会い、義兄弟のような絆を育んでいく青春映画だ。前篇・後篇の2部構成であり、「後篇でやった2つのボクシング戦は、5日間ぶっ続けで撮りました。同じシーンを何テイクも撮るので、毎日、世界戦を戦っているくらい(ボクシングを)やっていた」と説明する岸監督。ボクシング指導で参加したトレーナーも、その撮影を「プロよりも過酷だ」と評していたという。
菅田は「(共演の)山田裕貴が、そのときの僕を見て『人を超えたね』って言ってて、これが人を超えるってことかと変な全能感があった」と話し「(肉体改造で)炭水化物をずっと取らないと体のメカニズムが変わって、その状態で今度、炭水化物を取ると、体がそれを全部(エレルギーとして)使おうとして、体が熱を発して。試合の撮影のすぐあと『地味にスゴイ!DX校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)ってドラマの仕事があったんですが、“高熱ボーイ”になっていて(笑)。普段以上に体を使って、役者業をやってるなと思いました」と渾身の熱演を自ら茶化しつつ、振り返った。
この日は、本作主題歌「今夜」を歌うロックバンドBRAHMANのTOSHI-LOWも登場し、生歌を披露。「素敵だったなぁ」と感想を漏らす菅田に、本作の感想を聞かれたTOSHI-LOWは「観ながら、菅田将暉の尻と尻の間にある見えないものをずっと探している自分がいて。客席の皆さんも同じだったんじゃないかと。知らない自分の一面を知りました」と会場の笑いを誘いながら、「自分もボクシング経験者なので、あのシーンの大変さがわかる。カッコいいです、菅田将暉」と最大の賛辞を贈っていた。(取材/岸田智)
映画『あゝ、荒野 後篇』は新宿ピカデリーほかにて全国公開中