恐怖のピエロ映画にJホラーの影響アリ!『呪怨』清水崇が分析
映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の上映前トークイベントが20日、都内で行われ、『呪怨』などジャパニーズホラー映画の旗手として活躍する清水崇監督と、『クソすばらしいこの世界』など若手期待のホラー映画監督・朝倉加葉子が出席した。
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作家スティーヴン・キングのホラー小説を、ギレルモ・デル・トロが製作総指揮を務めた『MAMA』で注目を浴びたアンディ・ムスキエティ監督が映画化。静かな田舎町を舞台に、時にピエロの姿で現れる変幻自在の存在によって起きる児童失踪事件をめぐる恐怖を描く。
本国アメリカでは、『エクソシスト』を抜いてR指定ホラー映画で最大のヒット作になるなど、世界中で驚異的なヒットを記録しているが、清水監督は「『呪怨』や『リング』などJホラーの要素が見受けられるシーンが多々あります」と語ると、「製作のロイ・リーは僕も2~3作品、アメリカの映画で一緒にやっていますが、日本や中国、韓国からリメイクしたらアメリカで受けるだろうという作品を探すのがうまいんです」とその理由を説明。
朝倉監督も「ムスキエティ監督の前作『MAMA』も、Jホラーの影響を受けていると感じられるシーンが多いですよね」と清水監督の意見に同意する。さらに「1990年にテレビドラマ化されたときは、テレビでの放送だったので、恐怖シーンも寸止めされていましたが、今回の作品では、あえてR+指定を付けたのかなと思わせるぐらい、その先が描かれています」と刺激的な作品になっていることを強調した。
また清水監督は「すごいなと思ったのは、いろいろなキャラクターが出てきますが、いい意味で、(『ドラえもん』でいえば)のび太、スネ夫、ジャイアン、しずかちゃんみたいに、それぞれ個性があってわかりやすい。そのなかで、最近はプロデューサーが避けてしまうような、黒人の男の子の差別的なこともしっかりと描かれている」とホラーだけではなく、社会的な要素も含まれていることを評価。「ホラーって挑戦と克服だと思うんです。僕も中学2年生までホラーなんて観る人はおかしいと思っていたのに、いまはこういう大人になっていますからね」とホラーというジャンルへの独特の視点を語っていた。(磯部正和)
映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は11月3日より全国公開