ムキムキから激太り、うつにも…美人女優シャーリーズ・セロンが壮絶な肉体改造をする理由
最強の女スパイを演じた映画『アトミック・ブロンド』で激しいアクションに体当たりで挑んだオスカー女優のシャーリーズ・セロン(42)が電話インタビューに応じ、壮絶な肉体改造への思いを語った。
メガホンを取ったのは、スタントマン出身で『ジョン・ウィック』の共同監督を務めたことで脚光を浴びたデヴィッド・リーチ。本作でも、近年のアクション映画のようにカメラの激しい動きで“何か危険なことが起きている”と観客を錯覚させるのではなく、リアルにその場にあるシャーリーズの生身のアクションそのものを長回しで映し出す手法を取ったため、彼女はスパイにふさわしく見える肉体だけでなく、一連のシーンをノーカットでやる体力をつけることも必要だった。
「2か月半の間、1日5~6時間のハードなトレーニングをした」というシャーリーズは、本作で一番きつかったのは「それは続けることね。体が本当に痛み出してもベッドから出て(笑)、現場に行かなくてはいけない。それが一番大変だった。なぜならその日1日だけ素晴らしく戦えればいいということではなく、(撮影の)3か月間、毎日素晴らしく戦わないといけないから」と明かす。「だから精神的にも準備をしないといけなかった。たくさんの筋肉痛や打ち身を乗り越えられるようなね。膝をケガして歯も3本欠けてしまったけど、そういうことがあってもやめることができない」と女優魂を見せる。
そんなシャーリーズにとって女優の仕事とは、「映画にとって正しいことを確実にすること」。モデル出身で抜群のスタイルと美貌を誇る彼女だが、「体重を増やさないといけない役、もしくは鍛えなくてはいけない役なら、そうすることも仕事の一部」ときっぱり言い切る。その言葉を証明するように、本作の撮影を終えるや『ヤング≒アダルト』でも組んだジェイソン・ライトマン監督作『タリー(原題) / Tully』のため約16キロの増量を敢行。最強の女スパイから、3人目の子供が生まれたばかりの精神病を抱えた母親へと体形から作り替えた。
「そうするのが好き、と言っているわけではないのよ。特にこの年齢になると……健康的でいたいから(笑)。『アトミック・ブロンド』の後、わたしは今までで一番鍛えられた体だったけど、『タリー(原題)』のオファーを受けてそのキャラクターはどんな見た目であるべきか話し合って、わたしは増量する必要があると思った。体にそういうことをするのは本当に大変ではあるのだけど」と打ち明ける。『モンスター』(2003)で実在の連続殺人犯を演じるため14キロの増量(眉毛も全て抜いた)を行ったこともあるが、当時はまだ20代。40代になっての増量はずっと困難なものになったという。
「本当に病んで、うつになってしまった。健康的な食事をしなかっただけでなく、大量の砂糖、加工食品を食べて体重を増やしたことで腰をひどく痛めてしまい、元の健康状態、体形になるまでほとんど1年かかった。とても美しい映画になったから、『タリー(原題)』を作ることができてとてもうれしいけれど。こんなことをするのはもう最後かもしれないとも思わせられたわ(笑)」。
私生活では2012年と2015年に養子を迎えているシャーリーズ。母になったことで作品の選び方も変わったといい、「撮影となると、3~4か月とかその映画作りにかかる時間、子供たちと離れることになるか、彼らを外国へ連れて行くことになる。家族にとってこれは大きなことよ。わたしが何よりも優先しているのは子供たちだから、本当にやりたい作品だけを選ぶようにしている。『OK。これはとてもいい作品だから、家族にわたしと一緒に来てほしいと言うことに罪の意識を感じない』とね」と語る。だからこそ、“滅多にない”その作品に全力を注ぐことは彼女にとって必然なのだろう。(編集部・市川遥)
映画『アトミック・ブロンド』は公開中