ハリソン・フォード、『ブレードランナー』復帰の陰にハン・ソロの存在
SF映画の金字塔『ブレードランナー』(1982)の続編『ブレードランナー 2049』で、再びリック・デッカードを演じたハリソン・フォード。およそ35年ぶりとなった復帰の陰には、もうひとつの当たり役の助けがあったという。
デッカードは、過酷な宇宙開拓から逃亡して人間社会に紛れ込んだアンドロイド、レプリカントを追う専門捜査官“ブレードランナー”の一員だった男。ある出会いをきっかけに姿をくらまし、30年後の2049年に、ロサンゼルス市警のブレードランナー“K”(ライアン・ゴズリング)がその行方を追う。
公開当時から、ファンの間では「デッカードがレプリカントであるべきか、人間であるべきか」という論争が交わされてきたこともあり、続編にハリソンの存在は不可欠だったはずだ。そんな彼に復帰をうながした理由の一つが、空前のヒットとなった『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)だった。「つい最近、この30年間縁のなかったハン・ソロを久しぶりに演じたものでね。つまり、昔の役を演じることに慣れていたわけだ。だから、今回のデッカード役も大変ではなかった」。
SF映画の歴史に残るキャラクターを2人も演じ、さらにその両方の数十年後も演じるという、稀有な体験をしたハリソン。一方、『ブレードランナー』を生んだリドリー・スコット監督は、皮肉にも同じく自らが生み出した『エイリアン』シリーズなど多数のプロジェクトを抱えたことで、続編から身を引くしかなかった。
メガホンを託されたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は「リドリーはたくさんのプロジェクトを抱えていて、スケジュールの空きが限られていた。同時に、ハリソンのほかの出演予定がどんどん詰まってくる状況になった。ハリソンに出てもらうためには、たとえリドリーが自分で監督をできなくとも、制作を進めなくてはいけない決断になったんだ」と証言している。結果として本作は、本国アメリカにおいて高い評価を獲得するに至っており、ヴィルヌーヴ監督の起用は成功だったようだ。今回のハリソンの起用により、長年の論争に終止符がうたれる時が来たのか。その答えはもうすぐ出る。(編集部・入倉功一)
映画『ブレードランナー 2049』は10月27日より丸の内ピカデリーほか全国公開