宮崎あおい、一瞬後悔した出演作明かす「悩みすぎた」
第30回東京国際映画祭
女優の宮崎あおいが1日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催中の第30回東京国際映画祭Japan Now銀幕のミューズたち部門作品『怒り』Q&A上映会に李相日監督と出席し、本作への出演を決めたことを後悔した瞬間があったことを打ち明けた。
『悪人』に続き、李監督が吉田修一のミステリー小説を映画化した本作は、現場に「怒」という血文字が残った未解決殺人事件から1年後の千葉、東京、沖縄を舞台に3つのストーリーが紡がれる群像劇。前歴不詳の3人の男と出会った人々がその正体をめぐり、疑念と信頼のはざまで揺れる様子が描かれており、キャストには宮崎をはじめ、渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、妻夫木聡など日本映画界を代表する顔ぶれがそろった。
宮崎は新宿・歌舞伎町で働くも、千葉に住む父・洋平(渡辺)に連れ戻され、突如現れた素性のわからぬ男・田代(松山)に恋心を抱く愛子役を好演。役に近づくために7キロも増量したことが話題を呼んだ。
観客から「愛子にはまった瞬間」を尋ねられた宮崎は、「自分は愛子ちゃんとまったく違う人間で、自分の中に愛子ちゃんがいる気がしなかったので、すごくずっと悩んでいました」と切り出すと、「(愛子が)わからなさすぎて、撮影に入る1か月くらい前から現場に入るのが怖いなとか、なんでやろうと思っちゃったんだろう……と考えるくらい悩んでいました」と吐露。さらに、「リハーサルでも何かをつかめることが実感としてなかった」という。そんな中、衣装合わせの時に花飾りが用意されると、「こういう子なのかな」と少しだけ感じることができたのだとか。とはいえ、愛子はなかなか手ごわく、宮崎は「現場に入ってちょっとずつなのか、最後までつかめなかったのかは自分でもよくわからなかった」とはにかんだ。
一方の李監督は、宮崎が愛子を演じることについて不安視していなかったそうで、「(二人は)生き方や考え方などいろんなところは違うけど、一番つながってほしい所がつながっていた。(宮崎は)普通だったら、嫌な目にあったり、人と揉まれる中で失いそうなものをまだ持っていると思っていたので心配していなかった」と説明した。しかし、問題は本人が逃げないこと。李監督は「(宮崎が)千葉から出られないように、撮影現場とホテルしか行けないようにどうできるかをみんなで考えていました」と冗談交じりのコメントで会場の笑いを誘っていた。(取材:錦怜那)
第30回東京国際映画祭は11月3日までTOHOシネマズ六本木ヒルズほか各会場で開催