菅田将暉、桐谷健太にはガチでツッコめる
又吉直樹の第153回芥川賞受賞作を板尾創路監督が映画化した『火花』(全国公開中)で、漫才師の後輩と先輩を演じた菅田将暉と桐谷健太。彼らが劇中の会話で見せた関西弁のボケとツッコミは、同じ大阪出身で付き合いの長い二人だからこその、ガチのコミュニケーションだったことをインタビューで明かした。
菅田と桐谷といえば、auのCMの“鬼ちゃん”と“浦ちゃん”でお馴染みだが、二人が初めて顔を合わせたのはCM共演の前、2013年に桐谷が民放ドラマ初主演を務めた関西テレビ開局55周年記念ドラマ「Y・O・U やまびこ音楽同好会」でのこと。桐谷が京都府にある高校の代理教師役、菅田はその高校の生徒役だった。
「その時から普通に関西弁でしゃべってたし、将暉は僕がボケるとツッコんでくれた。今回の映画は、ちょっとした会話の細かいところが大事な作品で、アドリブのしゃべりも多かったんだけど、付き合いの長い将暉とだからこそできたんやと思います」と打ち明ける桐谷。すると菅田も「僕が大阪生まれじゃなかったら、『おいー』とか微妙に違う関西弁のツッコミで、違う笑いになっていたかも」と続け、「二人だけの空間の楽しさを桐谷さんと芝居でもつくれて、うれしかったですね」と楽しそうに語った。
普段から、37歳の桐谷のボケに対し「言わんでええねん」などの鋭いツッコミを入れるという24歳の菅田。13も年上の先輩俳優に? と思う人もいるかもしれないが、「関西のコミュニケーションとして『なんでツッコまなかったん?』というところがあって。それに『ツッコむときは敬語もタメ口もない』というところがあるんです。もちろん関西の人全員がそうだというわけではなく、桐谷さんだからツッコませてもらえるんですけどね」と菅田が理由を説明。桐谷も「そうそう。敬語を使ってほしいなら、俺はそもそもボケたらあかん」と菅田の考え方に同意していた。
年齢差もキャリアも関係なく、自然にボケとツッコミが成立してしまう二人だからこそ、本作の「一緒にいることが楽しくてしかたがない先輩と後輩」の関係性が、リアルに体現できたのだろう。(取材・文:斉藤由紀子)