ジョニデ、ペネロペ…豪華キャスト実現はあの女優のおかげだった!
アガサ・クリスティの傑作ミステリーを映画化した『オリエント急行殺人事件』で監督&主演を務めたケネス・ブラナーが、ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス、ミシェル・ファイファーといった現代のオールスターを一体どうやって集結させたのか、その裏側を明かした。
豪華列車オリエント急行を舞台に、世界的な名探偵エルキュール・ポアロ(ケネス)が客室で起きた刺殺事件の解明に挑むさまを描く本作。ジョニー、ペネロペ、ミシェル、デイジー・リドリー(『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』)、ウィレム・デフォー(『グランド・ブダペスト・ホテル』)、ジョシュ・ギャッド(『美女と野獣』)ら、そうそうたる顔ぶれがそろったことで大きな話題を呼んでいた。
一番にキャスティングが決まったのはなんとオスカー女優ジュディ・デンチだったと明かすケネス。「彼女が最初に決まったんだ。僕が尋ね終える前に、彼女は『イエス』と言ったよ。そのとき僕らは舞台で一緒に仕事していたからね」。それがその後のキャスティングに大きな影響を与えたそうで、「ジョニー・デップはジュディを崇拝しているから、彼女をおとりにして、誘い込んだ(笑)。それから、ペネロペ・クルスに話しをしたら、彼女は『誰が出演するの?』って。そこで『ジュディ・デンチ』って答えた途端に、話が簡単にまとまったよ(笑)」とのこと。ミシェルも、憧れだったジュディと撮影現場で対面し、号泣してしまったというエピソードをたびたび語っており、ケネスは「ジュディはキャスティングにおけるお守りだったね」と笑顔を見せた。
もちろんジュディだけが魅力だったわけではなく、「彼らみんながそれぞれに少なくとも1シーンは持ち場があることを気に入っていた。お互いに楽しいシーンがあって、必ずしも“スター”として映画に出演する必要はなかった」と指摘するケネスは、「そういった各々の小さな1シーンの積み重ねが効果的なのが、この映画の強みでもある。構造上の性質というか、キャラクターが多いぶん、誰かがしばらく登場しないというのは避けられないからね。ウィレム・デフォーみたいな俳優だと、しばらくスクリーンに姿を現していなくても、ひとたび現れれば、完璧に役をやってのける。ルーシー・ボーイントンも、エレナ・アンドレニ伯爵夫人を演じて、彼女は体調を崩しているという役どころだから長く客室にこもっているけれど、登場するシーンでは見事だった。それぞれのキャラクターに最大の持ち場のシーンがあったと思うし、みんながこのグラマラスなチームの一員であることを楽しんでいた」と最高のメンバーに誇りを感じているようだった。
また、本作撮影中にはジョシュがたびたび現場の様子をSNSにアップするなど、仲の良さが知られていた。「実際、おかしなことに、彼らは殺人ミステリーゲームをするために週1で会っていたんだよ。その言い出しっぺは、車掌のピエール・ミシェルを演じたマーワン・ケンザリだったんだけど。みんなそのゲームに夢中だった。そんな光景は稀だよ。どの作品の撮影現場でもそういう雰囲気になるわけではないからね」といかに仲睦まじいチームだったかをうかがさせる裏話も。「ジョニー・デップは優しいし、ミシェル・ファイファーも。本当にみんな心優しい人たちが集まった。だから遊び心に満ちていたというか、どれだけよくできるか真剣でもあったし。仕事を犠牲にするようでは楽しくないけど、こういう一流の人たちは“働くときは働いて、遊ぶときは遊ぶ”を実践できるんだなと思った」。
撮影が終わってからもキャスト陣の絆は固かったようで、「個人的に、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでのワールドプレミアにみんな集まったのが感動的だった。それだけみんながお互いに会いたいと思っていたという事だと思うからね」とうれしそうに語るケネス。座長としてみんなをまとめていた彼こそ、本作最大の立役者であることは、キャストをねぎらい続けた言葉の数々からも想像に難くない。それぞれの俳優が輝く瞬間に魅せられる一作となっている。(編集部・石神恵美子)
映画『オリエント急行殺人事件』は12月8日より全国公開