年の差ラブ実話…すっぴんOK!実在の大女優にアネット・ベニング
実在のハリウッド大女優とイギリス若手俳優の関係を描いた年の差恋愛映画『フィルム・スターズ・ドント・ダイ・イン・リバプール(原題) / Film Stars Don’t Die in Liverpool』について、ポール・マクギガン監督が2017年12月12日(現地時間)、ニューヨークのランガムホテルでインタビューに応じた。
【写真】ベネチア国際映画祭の女性審査員長を務めたアネット・ベニング
本作は、イギリス人俳優ピーター・ターナーの同名回顧録をマクギガン監督が映画化したもの。1981年、若手俳優だったピーター(ジェイミー・ベル)のもとに、大女優グロリア・グレアム(アネット・ベニング)がイギリスのホテルで倒れたという知らせが届く。乳がんを患っていたが治療を拒否していた彼女を実家で療養させる決意をしたピーターは、彼女の死が近いことを察し、二人で過ごした貴重な日々を回想していく。『007』シリーズのバーバラ・ブロッコリが製作を担当した。
バーバラから渡された脚本に何かを感じたというマクギガン監督。「原作は流動的に記憶がつづられていて、時間や場所があちこち飛んでいたから、映画化に向いていないように思えたんだ。映画だと時間や場所をしっかり定めなくてはいけないからね。けれど、それを中心にやってしまうと原作本来に記されていた良い部分が損なわれてしまう。だから、原作が持つ流動的な記憶を、いかに表現できるかが勝負だったんだ」と話す。
グロリアの作品も鑑賞し製作に臨んだものの、当初は大女優グロリアの行動が理解できず、好きになれなかったそうで、「彼女が映画界から離れ、舞台に活躍の場を移した頃、人々からの年寄り扱いに不満を持っていたことは理解できるし、彼女自身も決して自分が年寄りだと認めたことはなかったと思うんだ。それに彼女がピーターと最初に出会った時は55歳で、それほど年を取っていたわけでもない。だから僕は監督としてまず、彼女の行動を自分自身が理解するだけでなく、観客にもしっかりと把握できるように伝えなければいけないと思ったんだ。それはとても難しかったよ」と苦労を語った。
アネットの役づくりについては、「彼女は、グロリアがどんな人物かできる限り把握しようと、まるで学生のようにピーターに様々な質問をしていたね。グロリアに関する書物を読み、出演作品も鑑賞していた。でも演じる上で、グロリアの銀幕の時代にはそれほど興味を示さず、“忘れ去られたスター女優”の時代をより理解しようとしていたように思うね」と明かし、ノーメイクのシーンにも意欲的だったことに感謝した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)