男優に女優の1,500倍出演料…知らなかったリドリー・スコット激怒
男優に女優の1,500倍の出演料を払っていたとして波紋を広げている映画『オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド(原題)』。問題となっている再撮影では「自分を含め無償で働いた」とインタビューで語っていたリドリー・スコット監督はその事実を知らされておらず、激怒しているとTMZ.comが報じた。
映画『オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド(原題)』場面写真
1973年に起きた大富豪ジャン・ポール・ゲティの孫の誘拐事件を基にした本作。あと2か月で米公開という時に出演者であるケヴィン・スペイシー(ジャン・ポール・ゲティ役)のセクハラ疑惑が浮上したため、スコット監督はすでに完成していた映画からスペイシー登場場面の全削除を決定。代役としてクリストファー・プラマーを新たにキャスティングし、ミシェル・ウィリアムズとマーク・ウォールバーグらキャストも呼び戻して急ピッチで撮影を行い、公開日に間に合わせた。
80歳にして馬車馬のように働いたスコット監督はこの再撮影について「皆が思うほどお金はかからなかった。わたしもお金をもらうことを拒否したし、俳優たちも皆無償で戻って来てくれた(※代役のプラマー及び撮影クルーにはちゃんと支払ったともコメント)」と明かしていたが、USA Today がその後、ほぼ同じ撮影日数となった再撮影でミシェルが得たギャラは1,000ドル(約11万円・1ドル110円計算)以下だったものの、マークは150万ドル(約1億6,500万円)だったと報道。男女間の給料格差の問題として批判の声が上がることになった(ミシェル自身、喜んで無償でやることにしたと語っていたが、ミシェルとマークは同じ芸能エージェンシーWMEに所属しているのにもかかわらず、こうした差があることが事態をややこしくしている)。
TMZ.comによると、再撮影を決めた時点でスコット監督はロンドンに飛び、マークを説得、マークはこれに応じたとのこと。しかしその後、スペイシーの代役にプラマーが決まると、マークの代理人が「無償ではやらない。希望するギャラが支払われなければ再撮影はやらない」と通告してきたため、すでに再撮影に向けて動いていた製作サイドは支払わざるを得なかったという。
USA Today も、ミシェル、マーク共に契約には「再撮影の可能性」も含まれていたためそこでの問題はなかったものの、マークの契約には「共演者を選ぶ権利(=共演者を決めるにはマークの許可が必要)」が含まれており、マークサイドは再撮影のギャラとして100万ドル(約1億1,000万円)以上支払われないかぎり、プラマーを代役として認めないと言ってきたと伝えている。再撮影のギャラの真実を知らされていなかったスコット監督は「裏切られたような気持ちで、怒っている」とTMZ.comは報じた。マークの代理人もエージェンシーもこの件についてコメントしていない。
なお、本作においてミシェルとプラマーの演技、そしてスコット監督の技量は高く評価されており、第75回ゴールデン・グローブ賞でもそれぞれ女優賞、助演男優賞、監督賞にノミネートされていた。(編集部・市川遥)