志尊淳“トランスジェンダー女子”役のドラマに込めた思い
NHKで放送中のドラマ「女子的生活」でトランスジェンダーのヒロインを演じている俳優の志尊淳が、同ドラマでトランスジェンダー指導を担当する西原さつき氏とともに応じたインタビューでこの作品に込めた思いを明かしている。
本作は作家の坂木司による小説を基にした連続ドラマ。志尊演じるヒロインのみきは“かわいい女子的な生活”にあこがれを抱き、田舎から都会に出てきてファストファッション会社で働いているOL。見た目はスラリとした美人だがトランスジェンダーで性別は男性というみきと、癖のある登場人物たちとのエピソードがポップに、明るく、コミカルに、そして少し切なく描かれている。
今作で志尊は通常1年ほどかかる西原氏によるトランスジェンダー指導(女性の所作や声の出し方、話し方などの指導)を約1か月でこなして役作りに挑戦。西原氏が「志尊さんを追い詰めているなぁという自覚はありました」と振り返る過酷なトレーニングを乗り越えて、みきを熱演している。
5日から放送が始まり残るは19日と26日の2回となっているが、これまでの放送の反響について志尊は「(反響を)たくさんいただいていますね。この作品は見ている方がどこに着眼点を置くかで、捉え方がまったく変わってくるドラマだと思うんです」とコメント。「作品が多くの視聴者の皆さんへ届いたことに、僕は幸せを感じています」と感謝している。
撮影前は「トランスジェンダーの当事者の方々を背負っている気持ちで、責任を持って、このドラマが当事者の皆さんのことをもっと知っていただける良い機会になればいいなという気持ちでした」という志尊。その気持ちに今は変化があり「『何かを伝えたい』というようにこちらの考えを押し付けたくないというか。本当にみきって、もちろん女性なんですけど、みきという確立された存在という感覚があって。みきを演じたあとに、彼女がトランスジェンダーって言われることに対しても、なんとなく抵抗を感じるようになってきた」そうだ。
そして「トランスジェンダーという言葉を聞きすぎて「なんか違うな」って思ったんですよ」と続け、「僕は今、この作品が持っているメッセージ性であるとか、みきちゃんという人物の生き方を見て、視聴者の皆さんに何かを感じ取ってもらえればいいなと思っているだけです」と語っている。(編集部・海江田宗)