カンヌ映画祭パルムドール受賞作!美術館の参加型アートが思わぬ事態に…
第70回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝いた映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』からティザービジュアルと特報が公開され、とある有名美術館を舞台に参加型の展示が思わぬ事態を招くという奇想天外なストーリーの一端が披露された。
本作はパルムドール受賞以降も、世界の映画祭を席巻し、アカデミー賞外国語映画賞では選考リスト9作品に残っており、ノミネートもほぼ確実とされている注目作だ。『フレンチアルプスで起きたこと』の北欧の鬼才リューベン・オストルンドが監督と脚本を務め、今作の題材に選んだのはアート業界。上流社会の人々が集う有名美術館を舞台に、現代社会が抱える様々な問題をウィットに富んだ笑いと鋭い毒で、鮮やかに浮かび上がらせていく。
公開されたティザービジュアルでは、洗練されたファッションに身を包んだ敏腕キュレーターの主人公クリスティアン(クレス・バング)と彼の2人の娘が、本作のタイトルにもなっている美術作品「ザ・スクエア」を覗き込む様子が写されている。「あなたは人間を信じますか?」という一文が印象的だが、この作品はまさに「信頼と思いやりの聖域」がテーマの参加型アートで、床に描かれた正方形の中では誰もが他人に優しく接する必要があるのだ……。クリスティアンが企画したこの展示には、「世の中をより良く」する狙いがあったものの、彼が携帯と財布を盗まれたことに対して行ったささやかな復讐が火種となり、美術館はおろか、やがては社会を巻き込んで、とんでもない方向に事態は発展していく。
併せて公開された特報では、まさに予期せぬ大騒動へと発展していくさまが、フランスのエレクトロデュオ・ジャスティスの音楽に乗せて映し出されていく。「正義を下す!」と不穏に叫ぶ男、取り乱した様子でマンションのポストに何を投函するクリスティアン、「僕と家族に謝れ!」と怒鳴る少年、そしてパーティ会場を台無しにする謎の半裸男性……。無関係に見えるエピソードがやがて一つに繋がり、観客さえも巻き込んで、“観る者すべての心が試される”衝撃のラストへと向かう。カンヌ国際映画祭で審査員長を務めたペドロ・アルモドバル監督が「驚くべき想像力だ! とても可笑しくて恐ろしい。もう一度観たい!」と絶賛した本作だけに、その全貌が明かされる日本公開が待ち遠しい。(編集部・石神恵美子)
映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』はヒューマントラストシネマ有楽町ほか4月28日より全国公開