『ブラックパンサー』スパイ・戦士・科学者…女性キャラが魅力的な理由 キャストが語る
マーベルスタジオ最新作『ブラックパンサー』(3月1日公開)の会見が現地時間31日にアメリカ、ロサンゼルスで行われ、ブラックパンサーことティ・チャラを演じるチャドウィック・ボーズマンをはじめ主要キャストが出席、映画の根幹を支えた女性キャストたちが、本作における女性の重要性を語った。
南アフリカの超文明国ワカンダの国王でもある、2つの顔を持つヒーローの活躍を描いた作品。キャストのほとんどが南アフリカ系の俳優であり、なかでも国内外で活動するスパイのナキア(ルピタ・ニョンゴ)、ブラックパンサー親衛隊ドーラ・ミラージュの女性たちを率いるオコエ(ダナイ・グリラ)、ブラックパンサーの妹で最新アイテムを開発する技術者シュリ(レティーシャ・ライト)など、重要なキャラクターを女性が占めている。
誰もが頼れる存在として魅力たっぷりに描かれている女性キャラについてルピタは、メガホンをとったライアン・クーグラー監督の演出を絶賛。「褒めても褒めたりないぐらいよ。心から感銘を受けたわ」とその手腕をたたえる。
「この映画は、女性の一人一人に個性があり、ユニークで、それぞれ自分だけのパワーを持っていることを描いているわ。私たち女性は、互いに争わなくても、自分だけの空間を持つことができるってことを象徴してくれている。それって男女関係なく、子供たちに向けたパワフルなメッセージなると思うの。映画においてはしばしば、反対の描かれ方をするけど、そういう女性は少数派。そういう意味でも、この映画は私たちを解放してくれたと思ってる」。
また、人気ドラマ「ウォーキング・デッド」のミショーン役で知られるダナイが演じたオコエは、丸刈りの頭にタトゥーを施した姿が印象的。「しばらくは鏡をのぞきこんで『どうしちゃったの!?』って驚く日々だったわ」と語りつつ、「でも、ある種のプライドが育っていくのを感じた。劇中で、オコエが仕方なくカツラを着けて心底嫌がっているシーンがとても気に入ってるの。タトゥーを施した丸刈り頭でいることが、彼女のプライド。それに込められたものが、どれだけ彼女たちにとっての尊厳になっているのかを感じられるシーンなのよ。それって、いい意味で破壊的な考えよね。自分が美しくあるために、髪なんて必要ないってことだもの」とこれまでの女性像を打ち壊す作品であることを予感させる。
さらに若き開発者を演じたレティーシャは、男性キャラの描写にも言及。「若い女性が数字や科学に興味をもつなんて……って感じの描写じゃないのよ。君の仕事をしてくれ。君の道を進むんだって感じ。男性たちは彼女たちのやることに害をおよぼすことはしないの」と感銘。
それを聞いていたクーグラー監督は、別の作品でアカデミー賞にノミネートされた撮影監督レイチェル・モリソンをはじめ、美術、衣装デザイナー、アシスタントディレクターのトップなどカメラの後ろでも女性が重要な役割を果たしていたことを明かし、「この映画は素晴らしい女性たちの力があって成り立っている。女性だからっていうことではなく、この仕事に最適な人員だったんだ。一緒に働けたことに心から感銘を受けたし、彼女たちの痕跡が映画の全体に残っているよ」と感謝を述べていた。(編集部・入倉功一)