本谷有希子の小説が趣里主演で映画化 恋人役に菅田将暉
「異類婚姻譚」で第154回芥川賞を受賞し、劇作家、演出家とマルチな才能を発揮する本谷有希子の小説「生きてるだけで、愛。」が、女優の趣里主演で映画化されることが決定した。趣里演じる人との関わりを避けてきたヒロインが、自分の居場所を見つけようともがくさまを描く物語で、菅田将暉がヒロインの恋人に、仲里依紗がその元恋人にふんする。
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『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(2007)、『乱暴と待機』(2010)に続き、本谷小説の3度目の映画化となる本作。過眠症で引きこもり気味、感情をうまくコントロールできない無職の寧子(趣里)と、ゴシップ雑誌の編集部に勤める恋人の津奈木(菅田)、強引に津奈木とよりを戻そうとする元恋人・安堂(仲)の切実で滑稽な恋愛模様が描かれる。
ヒロインに抜擢された趣里は、念願の本谷作品で主演を務めた心境を次のように述べている。「お芝居を始めてから、本谷有希子さんの世界の中に入りたいと思い続けてきました。毎日の仕事や生活の中で、時には壁にぶつかり、今まで味わった事のないような感情に振り回された事もありました。もう人間が嫌い、いやでもやっぱり愛したい…そんな事の繰り返しでしたが、この作品の寧子という役を生きた事で今、私自身が救われたような気がしています」。
菅田、仲のほか、寧子を取り巻く面々に本谷ワールドにふさわしい個性派が集結。寧子のアルバイト先カフェバーのマスター・村田に田中哲司、カフェバーのママ・真紀に西田尚美、カフェバーの先輩アルバイト・莉奈に織田梨沙、津奈木の上司・磯山に松重豊、同僚の美里に石橋静河が決定している。
監督は、TOYOTA、資生堂、ナイキといった企業CMや、AKB48、Mr.ChildrenなどのMVなどを手掛け、カンヌ国際広告祭でグランプリなど数々の賞を得た映像ディレクター・関根光才。本作が長編劇映画、初監督作となる。今年1月5日に都内近郊でクランクインし、現在編集作業中。今秋、新宿ピカデリーほかで公開予定。(編集部・石井百合子)