高橋一生の“彼氏感”がハンパない『嘘を愛する女』
現在上映中の映画『嘘を愛する女』で、長澤まさみ演じるヒロインと同棲中の青年にふんした高橋一生のリアルな“彼氏感”に注目してみた。
昨年に続き2018年も朝ドラ「わろてんか」をはじめ映画『嘘を愛する女』『blank13』(ともに上映中)など出演作が相次ぎ、「anan」「Oggi」「ダ・ヴィンチ」といった雑誌の表紙を飾り飛ぶ鳥落とす勢いの高橋一生。長澤まさみと息ピッタリのコンビネーションを見せる『嘘を愛する女』では、絶大な癒やし効果を放つ“理想の彼氏”を演じている。
「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」に輝く食品メーカー勤務のキャリアウーマン、由加利(長澤)と研究医の桔平(高橋)は、同棲5年目の恋人同士。しかしある日突然、桔平はくも膜下出血に倒れ、それを機に彼の職場、名前、全てが嘘だったことが発覚。彼は一体、何者なのか……? 由加利はショックを受けながらも桔平が書き進めていた700ページに及ぶ小説を手掛かりに、私立探偵・海原(吉田鋼太郎)とともに彼の過去を紐解く旅に出る……。
軸となるのは、共に愛する人を傷つけてしまった罪悪感を抱える由加利&海原コンビの旅模様で、桔平が主に登場するのはかかわりのあった人たちの記憶の中。とりわけ由加利との思い出は、思わず自身を由加利と置き換えて妄想してしまいそうなほど甘美だ。
2人の出会いは震災のときのこと。桔平は駅で具合が悪くなりうずくまっていた由加利を介抱したうえに、ハイヒールで歩いて会社に向かわねばならない彼女にスニーカーを脱いで差し出し、自分は裸足(靴下)で帰っていくという紳士ぶり。常にトップを走らねばならない重責を背負ってピリピリ、付き合いだと言って遅くまで飲んで帰ることもあり、“言ってはいけない一言”で傷つける由加利にも決して声を荒げることなく、静かに包み込む。大仰なラブシーンは一切なく、シーツの中でじゃれ合ったり、ふとしたときにキスをしたりとあくまで“何気ない”日常が切り取られているのがポイントだ。昨年「メガネ ベストドレッサー賞」の芸能界部門(男性)を受賞した高橋だけに、メガネ姿もしっかり収められている。
恋人の過去を巡るミステリーのほか、高橋一生との妄想デートを体感するラブストーリーとしても楽しめる一作だ。(編集部・石井百合子)