『君の名は。』スタジオ新作アニメが夏公開 『秒速』オマージュ含む青春アンソロジー
アニメーション映画『君の名は。』『言の葉の庭』などの新海誠監督作品で知られるコミックス・ウェーブ・フィルム(以下、CWF)が制作する3つの短編からなる新作アニメ『詩季織々』(しきおりおり)が今年の夏にテアトル新宿、シネ・リーブル池袋ほかで公開されることが明らかになった。各作品のビジュアルも公開されており、背景美術にも定評のあるCWFならではの、詩的で切なくも温かい物語を予感させる美しいカットになっている。
本作は、北京・広州・上海の3都市を舞台にした短編を通じて、大切な思い出を胸に大人になった若者たちの心情を描き出した青春アンソロジー。中国で数多くのアニメを制作するHaoliners(ハオライナーズ)の代表で、本作の総監督を務めるリ・ハオリン(李豪凌)が、新海監督の連作アニメ『秒速5センチメートル』(2007)に感銘を受け、CWFに熱烈なオファーを送り続けたことで10年来の企画が始動した。
各作品の監督には、全員30代前半という日本と中国の若き才能が集結した。北京を舞台に、祖母とすごした湖南省の田舎での暮らしを振り返る青年をノスタルジーたっぷりに描く「陽だまりの朝食」では、実写作品の監督として活躍するイシャオシン(易小星)を起用。さらに、幼くして両親を亡くした広州の姉妹を描く「小さなファッションショー」では、『君の名は。』『秒速5センチメートル』などの新海作品でCGチーフを務めてきた竹内良貴を監督に起用する。
総監督のリ・ハオリンは、上海が舞台の「上海恋」を自ら監督。『秒速5センチメートル』のオマージュ作になっており、1990年代の上海・石庫門(せきこもん)を舞台に、淡い恋心を抱いていた、幼なじみとの思い出を振り返る青年を描く。本作についてリ・ハオリンは「人の一生は一瞬で過ぎ去り、人は何かを忘れ、誰かと別れ、離れていってしまう。そんな儚く消えゆくものを、美しい映像としてずっと残したいと思いました」と語っている。(編集部・入倉功一)