大杉漣さん最後の主演作、10月6日公開決定
2月21日に急性心不全のため66歳で亡くなった俳優・大杉漣さんの初プロデュース作にして最後の主演作となった映画『教誨師』(きょうかいし)が、10月6日より公開されることが明らかになった。
“教誨師”とは、受刑者の道徳心の育成や心の救済に務め、彼らが改心できるよう導く人のこと。本作は、大杉さん演じる死刑囚専門の教誨師・佐伯が、6人の死刑囚に寄り添いながらも、自分の言葉が本当に届いているのか、死刑囚たちが心安らかに死ねるよう導くのは正しいことなのか苦悩し、忘れたい過去や自身の人生と向き合う姿を活写する。
エグゼクティブプロデューサーと主演を務めた大杉さんは、ほぼ教師室での会話劇で構成される本作の膨大なセリフ量と、ユニークな内容のオリジナル脚本に「役者にケンカを売ってるのかと思った」と語りながらも、その複雑な人物像を見事に演じ切った。
死刑囚役には、ドラマ「バイプレイヤーズ ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」(テレビ東京)での共演も記憶に新しい光石研や、烏丸せつこ、古舘寛治といったベテラン俳優、映画初出演となる玉置玲央らが名を連ねている。監督・脚本を担当したのは、死刑に立ち会う刑務官を描いた『休暇』で脚本を務めた佐向大。
佐向監督は、「3年前、小さな喫茶店で、この企画を一番最初に話したのが大杉さんでした。『いいね、やろうよ』。その一言をきっかけにこの作品が生まれました。私にとって主演俳優以上の存在だった大杉さんの訃報を前に、全く心の整理がついていません」と悲痛な胸の内を明かしながらも、「ただこれだけは言えるのは、人生は限りがある。だからこそ、かけがえのない時間を、かけがえのない仲間とともに、どんなお仕事でも遊びでも手を抜かず、一瞬一瞬を精いっぱい全力でやられていた方だったのではないか。あの優しさ、包容力、エネルギーはそんなところからきていたのではないか。今はそんな気がしています。この作品で大杉漣という役者の凄みを改めて目の当たりにしました。おそらく皆さんも同じ思いを抱くのではないかと思います」と大杉さんへの熱い思いをにじませている。(編集部・吉田唯)
映画『教誨師』は10月6日より有楽町スバル座ほか全国順次公開