デヴィッド・ボウイの回顧展「David Bowie is」がニューヨークで開催中
3月2日より、ニューヨークのブルックリン・ミュージアムで開催され、盛況となっている故デヴィッド・ボウイさんの回顧展「David Bowie is」。彼が使用した衣装、楽器、手書きの楽譜や歌詞、さらに自身が描いた絵画などを含め、およそ400点もの私物が展示されており、ボウイさんの誕生から亡くなるまでを追ったまさに大回顧展になっている。
【写真】代表作『ラビリンス/魔王の迷宮』でのデヴィッド・ボウイさん
ボウイさん自身のインタビューや楽曲が流れるヘッドフォンと共に鑑賞できるようになっている場内。セクションごとにボウイさん自身が当時を振り返りながら説明してくれ、彼の世界に誘ってくれる。足を踏み入れるとまず、扇子のようなデザインを特徴としている黒いジャンプスーツ(「トーキョーポップ」)が迎えてくれる。デザインしたのは、日本を代表するデザイナー、山本寛斎。ボウイさんはコンセプト・アルバム「ジギー・スターダスト」や「アラジン・セイン」の頃、山本寛斎の手掛けた衣装を着こなしていた。
続いて、ボウイさんの本名、デヴィッド・ジョーンズの子供の頃の写真に。父親が買ってきたエルヴィス・プレスリー、リトル・リチャード、ファッツ・ドミノなどのレコードを通して、アメリカの人気ロック作品に影響を受けていたことがわかる。母親から買ってもらったというアルトサックスども展示されており、彼が少年時代から音楽活動に関わり、いかにその後世界的なミュージシャンになったか、その姿を垣間見ることができる。
そして、デビューアルバムとなった「デヴィッド・ボウイ」時代の物や、1968年に公開されたスタンリー・キューブリック監督の映画『2001年宇宙の旅』をモチーフにした1969年のアルバム「スペイス・オディティ」の制作過程の関連物などへと移り変わっていく。アルバム「スペイス・オディティ」はアポロ11号の月面着陸に合わせてリリースされ、それによってボウイさんはアメリカでも人気を博すことになる。
その他にも、1972年のコンセプト・アルバム「ジギー・スターダスト」のために描いたオリジナル歌詞のノート、1974年にリリースされたコンセプト・アルバム「ダイヤモンドの犬」の制作に影響を与えたビート・ジェネレーションを代表する作家ウィリアム・S・バロウズと共に撮った写真とそのツアーで使用されたセットモデル、プレスリーさんとボウイさんが共にカバーを飾ったストーリー・オブ・ポップ誌の表紙、「Life on Mars?」のミュージックビデオ撮影のためにフレディ・バレッティが製作したアイスブルー・スーツ、そしてボウイさん自身が描いた三島由紀夫のポートレート「Head of Mishima」などが展示。ファンにはたまらない濃密な時を過ごせる場所となっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)