寺島しのぶ、主演作のアメリカでの評価に「うれしい!」
日米合作映画『オー・ルーシー!』(4月28日 日本公開)について、主演の寺島しのぶが、電話インタビューで語った。
本作は、平柳敦子監督が2014年に手掛けた同名短編映画を長編化したもの。さえない日々を送る43歳の独身OL節子(寺島)は、ある日、めいの美花(忽那汐里)に頼まれて受講した英会話教室で、アメリカ人講師のジョン(ジョシュ・ハートネット)と出会う。彼から金髪のカツラとルーシーという名前を授業で与えられた節子はジョンに恋するが……。寺島は、今作でインディペンデント・スピリット賞の主演女優賞に『スリー・ビルボード』のフランシス・マクドーマンド、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』のマーゴット・ロビーらと共にノミネートされた。
平柳監督の短編を鑑賞した後、届いた脚本を読んで出演を決めたという寺島。脚本の惹かれた点を「今作は監督のオリジナル脚本ですが、監督が見ていた情景がいろいろ浮かび、こういうことを感じながら書くのかと、わたし自身にも(その情景が)よく見えてきたんです。渡された脚本は100%のものではなく、なんとなくいびつな感じのままの台本で、そのうちの20%くらいは、これは役者に楽しめ! ということなのかなぁと勝手に感じ取っていました。要するに、余白のある台本だったんです。むしろ、完璧な台本ではなかったところが魅力でした」と説明する。その余白を演技派の俳優陣が見事な演技で埋めていると言えるだろう。
平柳監督が寺島と自身の性格が似ていると語っていたことについては、「お互いシャイなんです。万人には受けない作品で、クスッと笑うようなところは似ていると思います。ちょっと意地悪で、シニカルな部分はあるし、話題のことでも、その主題への食いつき方が一緒だったりします。こんなに似ているとは思いませんでしたが、しゃべればしゃべるほど、ああ似ているなぁと思いましたね」と話し、「あと、二人とも我慢強いですね。彼女は、わたしの演技を一番最初に(監督として)観てくれるお客さんです。でも自分の書いた脚本なのに、わんわん泣いているし、ゲラゲラ笑ってもいるんです。思い入れたっぷりの脚本を、こんなに手放しで、無邪気にわたしたちの演技を観てくれるなんて、なんて健康的な人だと思いましたね(笑)」と撮影を振り返った。
映画では、節子はジョンを追って渡米の決断をするが、寺島が女優になる決断をしたのはいつ頃だったのだろうか。「女優になりたいとは、ずっと思っていたんです。ただ、親には迷惑をかけないところでやろうと最初は思っていました。力を付けたら、自信もついて、あまり親の力を借りてやっているとか、そういうことを感じずにできるのではないかと思っていましたね。だから、同じ業界ですが、あえて違う道を選んだつもりです」と明かした。
今作で、インディペンデント・スピリット賞の主演女優賞にノミネートされたことについては、「まず、信じられないですね。この映画は、アメリカで(コメディーとして)ウケるのかなぁ? と思っていたので、(授賞式に参加するために渡米していた際に)さまざまな雑誌や新聞で今作の評価を読ませていただき、アメリカでもウケると評価していただいたことが、うれしかったですね」と喜びをあらわにした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)