二宮和也主演、日曜劇場「ブラックペアン」注目ポイントは?
22日よりスタートするTBS系日曜劇場「ブラックペアン」(夜9時~、初回25分拡大)の完成披露試写会が先ごろ行われ第1話がお披露目されたが、日曜劇場というブランドにふさわしいクオリティーの高いものだった。そこで第1話の放送に先駆け、注目ポイントを振り返ってみた。本作は、テレビドラマ化&映画化もされた人気小説「チーム・バチスタの栄光」の原点となる海堂尊の「新装版 ブラックペアン1988」を原作にした重厚な医療エンターテインメント。主演を務めるのは日曜劇場初主演となる二宮和也。竹内涼真、内野聖陽、葵わかな、小泉孝太郎、市川猿之助、倍賞美津子、加藤綾子、加藤浩次ら多彩な顔ぶれが脇を固め、作品を盛り上げる。
簡単なあらすじを紹介すると、舞台は東海地方にある東城大学医学部付属病院。そこには天才的な手技(縫合技術)を持つが、傲慢な性格と言動で周囲の軋轢を生むため万年ヒラの医局員である渡海征司郎(二宮)が、突如導入されることになった手術用最新医療機関・スナイプを巡る疑惑をきっかけに、大学病院という巨大組織に立ち向かうというストーリーになっている。
注目してほしいのは役者の演技合戦ともいえる演技のクオリティー。特に“神の手”を持つと言われている心臓外科医であり、東城大学医学部付属病院の頂点に立つ「佐伯外科」率いる佐伯清剛教授(内野)は痺れるほどの存在感と色気、怪しさを醸し出している。二宮、小泉も内に秘めた野心を一瞬の表情や仕草で覗かせる演技は抜群で、その一挙手一投足から目が離せなくなる。
一方、竹内演じる佐伯外科の1年目の研修医・世良雅志と、葵ふんする新人看護師・花房美和もいずれも崇高な夢を持ちつつも、自身の実力が伴わず苦悩する若者たち。言ってみれば“青臭いヘタレ”を演じるが、彼らの存在意義は大きい。物語は世良の目線で語られていくので、大学病院の権力争いという、やや浮世離れした題材が、より身近に感じられ、感情移入しやすくなる。完成披露試写会の壇上、竹内はナレーションに対して「かなり苦戦している」とこぼしていたが、理想に程遠い現状に葛藤している若者の苦悩が言葉に込められているようで、応援したくなる。
二宮は「7~8時間撮影するのは大変」とも話していたが、その言葉通り手術シーンの臨場感は抜群だ。スナイプ使用時のオペ室では、放射線漏れをケアするための設定として、非常に重い防護服を手術着の下に着ることがあるという。こうした目に見えないかもしれない細部へのこだわりが、映像に映し出されているからこそ、物語に真実味が加わるのではないか。
さらに、佐伯教授のライバルとなる帝華大学の西崎啓介教授役の市川猿之助や、治験コーディネーター・木下香織役の加藤綾子、さらに渡海の片腕として暗躍しそうな主任看護師・猫田麻里役の趣里ら脇を固める曲者も多数出演。放送後、注目度の高い作品になりそうだ。(磯部正和)