『スター・ウォーズ』ハックス将軍もちょっとコメディー!ドーナル・グリーソンが語るコメディー論
実写映画『ピーターラビット』は、世界中で親しまれているビアトリクス・ポターの絵本の舞台を現代に移し、いたずら好きなうさぎ・ピーターの冒険にロマンスを絡ませたコメディーになっている。ロマンスのパートを担いつつ、喜劇役者としての才能を見せたドーナル・グリーソンがインタビューに応じ、コメディーへの思いを語った。
『FRANK -フランク-』や『エクス・マキナ』での気弱で繊細な青年役がよくはまっていたドーナルだが、最近では『スター・ウォーズ』シリーズで演じているハックス将軍がコメディータッチになってきたことが話題に。そして今回の『ピーターラビット』では、そのさらに上をいく本格的なコメディー演技を披露している。
「コメディーな瞬間はたいていの映画から探せる」というドーナルは、「それは人生の一部で、人には面白い瞬間があるもの。『エクス・マキナ』にだってある」ときっぱり。「でも、体を使ったギャグをメインにしたコメディーは、しばらくやっていなかった。『スター・ウォーズ』では少しそうだけど、屋根から転げ落ちたりするコメディーはやるチャンスがなかった。今回はそのプロセスを楽しんだよ」と本作での演技について語る。
ドーナル演じるマクレガーとし烈なバトルを繰り広げるピーターラビット(声:ジェームズ・コーデン)はCGアニメーションで表現されており、ドーナルはそこに居ないものを相手に演技していたわけだ。「ジェームズとはこれまでに何回か会っているけど、この映画では会う機会もなく、別々に仕事していた。変な感じだよね。でも彼の声は聞こえるようになっていた。それと彼の声を合わせた初期の試作アニメーションを観せてもらえたのが役立った。実際のところ、出来上がった映画を観てぶっ飛んだよ。本当に生きているみたいだ。これはアニメーションチームとジェームズの素晴らしい仕事のおかげだよ」。
キャリアをコメディー寄りにシフトさせているようにも思えるが、路線変更ではないという。「違うことをやっていきたいというだけだよ。もちろん、今回はすごく楽しめたけど、次に控えているのは『FRANK -フランク-』や『ルーム』のレニー・アブラハムソン監督のホラーでダークな気が滅入る映画だし。でも、またコメディーが来ても、興味深い、伸びていけるようなものならやるつもり。自分で決められるものではなく、俳優は役を待っていなくてはいけないけどね」。
ちなみに、故郷アイルランドで俳優としてのキャリアをスタートさせたドーナルは、アイルランドのコメディードラマ番組にも出演している。そこで見せたコメディーセンスが買われたことも『ピーターラビット』への抜てきにつながったという。『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でのコメディーが世に出たのは本作に取り掛かった後で、選考の材料ではなかった。それにしても、『スター・ウォーズ』により一躍知名度が上がったことでの変化は大きいはずだ。
「ダブリンのマラハイドで育ったけど、そこでは誰かが僕を知っていたら、たいてい僕も彼らを知っている。今は外を歩いていて、誰かが僕を知っていても、僕の方は彼らを知らないということが時々起こる。ちょっと奇妙な感じだね。だから、僕はTwitterのアカウントも持っていないし、オンラインのそういうことからは距離を置いている。家の中まで知らない人が入ってくるような気分にならないで済むから」というドーナルは、ハリウッドで活躍する今もダブリンで暮らす。
本作のメガホンを取ったウィル・グラック監督からも「彼は役者(そのもの)だ」と評価されているドーナルは、プライベートでの自分を保つことで、役者として常に新しい顔を見せ続けられているのかもしれない。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)
映画『ピーターラビット』は5月18日より全国公開