ソンビ映画に大爆笑の連続!37分のワンカットに拍手鳴りやまず
新人監督と無名俳優によるゾンビ・エンターテインメント映画『カメラを止めるな!』が現地時間25日、北イタリアで開催中の第20回ウディネ・ファーイースト映画祭で海外初上映された。深夜0時からの上映にも関わらず約500人が詰めかけ、大爆笑の連続に上映後にも観客の興奮が冷めやらず、約5分間に渡って拍手喝采が沸き起こる熱狂ぶりとなった。上田慎一郎監督は「幸せな夜になりました」と喜びを噛み締めていた。
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同作は監督&俳優養成スクール「ENBUゼミナール」が新鋭監督を起用し、俳優ワークショップを行いながら劇場公開映画を製作するシネマプロジェクト第7弾。過去には市井昌秀、吉田浩太監督らが参加しており、今泉力哉監督『サッドティー』(2013)と『退屈な日々にさようならを』(2016)は共に東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門に選出されている。
今回の上田監督も短編が国内外で注目されただけでなく、夫人のアニメ・映画監督ふくだみゆきが監督したアニメ『こんぷれっくす×コンプレックス』(2017)のプロデューサー&編集を手がけ、第72回毎日映画コンクール・アニメーション映画賞を受賞するなど、夫婦ともに今後の活躍が多いに期待される逸材だ。
そして本作『カメラを止めるな!』は上田監督の待望となる劇場用長編デビュー作となる。物語は、37分間ノンストップ・ワンカットのソンビ映画の全貌と、その決死の舞台裏を描いた斬新な内容で、今年4月に開催されたゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018ではゆうばりファンタランド大賞(観客賞)を受賞している。
初の海外上映に上田監督は「海外の人はリアクションが大きいとは聞いていたけど、笑い声だけじゃなく拍手も何度も起こって、その度に横に座っていたキャストと顔を見合わせて喜び合っていました。上映後もあんなに拍手が続くなんて夢のようで、ずっとフワーっとして、ホテルに戻ってベッドに転がった瞬間に現実なんだと実感しました」と語り、好感触を得たようだ。
同作はすでに海外セールス会社も決定しており、数か国が興味を示しているという。またウディネに続いてドイツの第17回ハンブルグ日本映画祭(5月23日~27日)への参加が決まっており、ファンタスティック系の映画祭を中心にこのまま世界中の映画祭を巡回しそうな勢いだ。6月23日からは東京公開も控えており、幸先のいいスタートを切ったといえそうだ。(取材・文:中山治美)
『カメラを止めるな!』は6月23日より新宿K’s cinema、池袋シネマ・ロサにて公開
第20回ウディネ・ファーイースト映画祭は28日まで開催