スター・ウォーズ、どうなるハン・ソロ映画?名匠ロン・ハワード語る
『スター・ウォーズ』の人気キャラクター、ハン・ソロの若き日を描く映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(6月29日日本公開)を監督したロン・ハワード。アカデミー賞受賞作『ビューティフル・マインド』などで知られる大ベテランで、かつてシリーズの生みの親であるジョージ・ルーカスに『スター・ウォーズ エピソードI/ファントム・メナス』(1999)の監督を依頼されたという逸話を持つ大ベテランが、『スター・ウォーズ』の世界に初めて関わった体験を語った。
「自分のプロジェクトでとても忙しかったから、『スター・ウォーズ』に関わることはないだろうと思っていた。何年もかかるからね」というハワード監督。『ハン・ソロ』は、撮影途中に降板したクリストファー・ミラー&フィル・ロード(『LEGO(R)ムービー』)からメガホンを引き継ぐという、チャレンジングな企画となった。
「彼らの作ったものは本当に素晴らしかった。いくつかのシーンをやり直したり、新しいシーンを足したりする自由をもらえて、独自のものにできたんだ」というハワード監督。脚本についても、脚本家のローレンス&ジョン・カスダン親子と練り直したといい「若いハン・ソロにとても興味があったんだ。なぜ彼は、カリスマ性を備えた密輸業者になったのか? 今回の脚本は、とても驚かされる方法で、そういう疑問に答えていると思うよ」と語る。
かつて俳優だったハワード監督は、ルーカスが監督した『アメリカン・グラフィティ』(1973)で、ハン・ソロを演じたハリソン・フォードと共演。撮影現場で、ルーカスが『スター・ウォーズ』のアイディアを話しているのを聞いた覚えがあるそうだ。『ハン・ソロ』を引き受けた後で、ハリソンとハンについて話をする機会があった。「ハリソンは、ハンの抱えるパラドクスについて話してくれた。強さと弱さ……うぬぼれや虚勢の裏にある脆弱性についてね。その話が、演出するのにとても役立ったんだ」。
本作で若きハン・ソロ役を射止めたのは、新鋭オールデン・エアエンライク。「オールデンはハリソンの真似をしないように、彼独自のキャラクターを作り出そうとした」というハワード監督は、「オールデンの役に対する直感は優れていたけど、ハリソンの話は、彼がハン・ソロにアプローチする助けにもなったんだよ」と明かした。
またハワード監督は、「ハンとチューバッカが出会い、お互い信頼できるかどうかわからない2人が、友情を見出していく点が、ストーリーの大きな要素になる」と説明。「ミレニアム・ファルコンの側でチューバッカを演出していて、『素晴らしいね!』と言うと、チューイがやって来てハグしてくれるんだ。これまで経験したことがないほどエキサイティングな瞬間だったよ」とほほ笑んだ。ちなみに主演のオールデンによると、撮影の初日にはルーカスが現場にやって来たそうだ。激励に訪れただけで、ただ見ているはずだったルーカスは、オールデンの演技を見て、「なぜハンはこれをやらないの?」と口にしたという。オールデンは、「ジョージはロンに、ハンに関するアイデアを話し、ロンが僕にそれを伝えに来たんだ。ジョージはロンに敬意を表していたんだよ」と笑いながら裏話を教えてくれた。(取材・文:吉川優子)