30歳目前の千葉雄大、可愛さの引き出し「まだまだある」
甘いルックスで女性から絶大な人気を誇り、“可愛い”が代名詞ともいえる千葉雄大。かつては自身のイメージに葛藤した過去もあるというが、昨年は実年齢を感じさせない容姿を武器に、映画やドラマ、舞台などたて続けに出演し、幅広い役に挑戦した。そんな彼が映画『ピーターラビット』で日本語版吹き替え声優を務め、可愛さとともに内面にはワイルドさも併せ持つピーターラビットに声を吹き込んだ。まもなく30歳を迎える千葉が自身のイメージや、俳優としての今後について語った。
温かく包み込んで癒してくれる男子、通称“ヌクメン”と評されることもある千葉は、今年で俳優デビューから8年、3月に29歳を迎えた。「30歳目前ということを意識はします」という千葉だが、「ただ、具体的に何をすれば良いかはわからないし、正解もない。どんどん新しいことをやっていかないと」と決意を語る。そして「昨年は自分にとっては変化の年。役の幅が広がったことがうれしかった。先生役をやりながら同時期に生徒役をやったり……もしかすると自分の年の取り方ってこういうことなのかもしれないな」と思いを口にする。
『暗黒女子』では高校教師、『帝一の國』『ReLIFE リライフ』では高校生にふんした千葉。「役者として『これはできません』では型にハマって表現の幅が狭まるので、どんな役でもできるようにはなりたい。すべて“可愛い”だけで見られるとダメだし、表現力を上げないと。ただ、自然体でいけるのがベスト。こういう役も合うかもと思ってもらえるようにしたい」とビジョンを語る。「新たな役に挑戦するきっかけがくることは大歓迎。ムキムキにしろと言われればそうするし、役者として求められることはうれしい」と続けた。
同時に“可愛い”に対しては持論もあるという。今年はドラマ「もみ消して冬 ~わが家の問題なかったことに~」でキュートな見習い執事を演じ、あざといほどの可愛さを発揮したが、「こういう役をもらうことが続いて鍛えられた部分もあって、あざとい感じのわかりやすい表現は、仕草などで照れもなくできる」とのこと。「ただ“可愛い”というのも、いろいろな表現があると思うんです。あざといだけでなく、小動物のようだったり不器用だったり……引き出しや見せ方はまだまだあると思います」。
そんな千葉が、可愛らしくもおしゃべりで皮肉たっぷりなウサギの声を演じる『ピーターラビット』。俳優だけでなく『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』『イースターラビットのキャンディ工場』では声優も務めてきたが、「今回ほど台詞量が多いのは初めてです。これまで培った経験の引き出しを開けるような感覚もあったけれど、表現の幅は広がりました」という。
世界中で愛されている『ピーターラビット』だが、実は映画化は今作が初めて。日本語版のアンバサダーにも任命された千葉は「初めてのピーターラビットは、ただ道徳的なものには収まらないチャレンジングな映画」と評し、自身の役どころについては「あまり経験のない活発な役なのでやりがいを感じたし、声だけで表情や隠れた感情を表現するのは難しい」と振り返った。
千葉が好きな俳優として挙げるのは、『ピーターラビット』でピーターに翻弄されるマクレガーを演じたドーナル・グリーソン。「『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』が本当に素晴らしくて。今回、こういうかたちで“共演”できたことは光栄。ドーナルさんも大人でありながら童心も忘れない役どころが似合います」と感慨深げ。そして「あんな年の取り方に憧れますね」とレオナルド・ディカプリオの名前も挙げた。
今後も型にとらわれず「泥臭くやっていきたい」と語る千葉。さまざまな役に挑戦することは「僕としては『この役、僕がもらっちゃうね』という感じで、新しい自分を見つけていく感覚」と表現。そして「見る人が僕に覚えるイメージは、どれも合っていてどれもちがう。いずれも僕のなかから出てくる自然なものなので、操作しようとはしなくていいかなと思う」と、パブリックなイメージにとらわれず俳優として幅を広げたいという。演技の幅を着実に広げている千葉雄大が今後、どのような変化を見せるのか注目だ。(編集部・大内啓輔)
映画『ピーターラビット』は公開中