米作家フィリップ・ロスさん死去 『白いカラス』『エレジー』など映画化多数
「背信の日々」「父の遺産」などの小説を手掛けたアメリカを代表する作家フィリップ・ロスさんが、5月22日(現地時間)マンハッタンの病院でうっ血性心不全のため85歳で亡くなった。New York Timesほか複数メディアが報じている。
フィリップさんは、1933年ニュージャージー州ニューアーク生まれ。ソール・ベローとの出会いから、小説家になることに興味を持ち始め、シカゴ大学やペンシルベニア大学で教壇に立ちながら、1959年に短編集「さようならコロンバス」で作家デビューし、この作品が全米図書賞を受賞したことで一躍世間から注目される作家になった。1986年に「背信の日々」、1991年に「父の遺産」、2000年には「ヒューマン・ステイン」などを発表。
映画化された作品も多く、アンソニー・ホプキンス主演作『白いカラス』は小説「ヒューマン・ステイン」を基に、ペネロペ・クルス主演作『エレジー』は小説「ダイング・アニマル」を基に、映画『アメリカン・バーニング』は小説「アメリカン・パストラル」を基に映画化された。
これまで彼は、全米図書賞と全米批評家協会賞を2度、ペン/フォークナー賞を3度受賞し、2001年にはアメリカ芸術文学アカデミーからゴールド・メダルを授与された。私生活では、自身の作品のインスピレーションにもなったマーガレット・マティンソンと最初の結婚をし、1963年に離婚。1969年に彼女は交通事故で亡くなった。1990年に長年交際していたクレア・ブルームと結婚し、1994年に離婚している。(細木信宏/Nobuhiro Hosoki)