俳優・長瀬智也を『空飛ぶタイヤ』監督が絶賛!「アイドルに戻らなくていい」
映画『空飛ぶタイヤ』公開記念舞台あいさつが16日に都内で行われ、本木克英監督が“俳優”長瀬智也を絶賛した。本木監督は、撮影最終日に長瀬が「しばらくアイドルに戻ります」と言ったことを受け、「あなたはもうアイドルに戻らなくていい。俳優・長瀬智也が次にどんな役柄に挑戦するかが見たい」と激励した。
この日のイベントには、長瀬と本木監督のほか、ディーン・フジオカ、高橋一生、深田恭子、寺脇康文、阿部顕嵐(Love-tune/ジャニーズJr.)、六角精児も登壇。長瀬は「去年の今頃に撮影を終え、ようやく皆さんに観てもらえて非常にうれしく思います」と笑顔を見せると、豪華キャストや映画界屈指の職人たちがそろった本木組と過ごした時間を「幸せでした」と振り返った。
一方の本木監督は「総勢70名の名前を言ったら誰でもわかる俳優さんたちが出ていたので、撮影が終わってから1年間、本当に大丈夫だろうかとヒヤヒヤしておりました。ところが、誰一人問題を起こさず、この日を迎えられて本当にうれしい」と喜びを爆発させて、会場の笑いを誘った。
トレーラーの脱輪事故で整備不良を疑われた運送会社社長・赤松徳郎(長瀬)が、自社の無実を証明すべく、製造元の自動車会社の不正を暴く闘いに挑む姿を描いた本作。長瀬にサプライズレターを用意した本木監督は、「重く厳しい題材で、70名あまりの登場人物が入り乱れ、ともすれば複雑になったまま終わってしまう危険性があった作品だったため、あなたがもし“エキセントリックな俺様キャラ”で主役・赤松徳郎を捉えているなら、わたしは監督を断ろうと思っていました」と明かした。しかし、優しい感性と真摯(しんし)な姿勢で役に向き合う長瀬に「浅はかな先入観は吹き飛んだ」という。
また、赤松は「任侠映画の高倉(健)さんが最後に派手な立ち回りをしないで終わるイメージ」と話したときに、長瀬が「わかりました。僕は最後まで心から笑わなくてもいいんじゃないですか。社員たちが笑えばいいと思います」と言ったことで、映画の成功を確信したという本木監督。それは「アイドル・長瀬智也ではなく、赤松運送の社長・赤松徳郎の言葉を放っていたから」で、それ以降も現場で見せる「次々と繰り出される相手役の多様な演技に対応し、受けの芝居を続け、自分がどう見えているかを一切気にせず、映画全体を精細に考える」姿勢に、「主役とはかくあってほしいと感心するばかりでした」と舌を巻いた。
そして撮影最終日に「しばらくアイドルに戻ります」と言った長瀬に、「あなたはもうアイドルに戻らなくていい。俳優・長瀬智也が次にどんな役柄に挑戦するかが見たい」と呼び掛けた本木監督。そのメッセージを受け取った長瀬は「心に響くものはありました。監督のそういう思いがあったから、僕も思い切りできたのかなと思わされます」としみじみ。さらに、スタッフキャストに重ねて「ありがとうございます」と感謝の言葉を送ると、観客には「いろんな正義があると思いますけど、見てくださった人たちが感じとったものが僕たちが伝えたかったことだと思います」とアピールした。(取材:錦怜那)
映画『空飛ぶタイヤ』は全国公開中