「SSFF&ASIA」ジョージ・ルーカス アワードはシンガポール作品に決定
国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2018」(SSFF&ASIA)のアワードセレモニーが17日、都内で行われ、グランプリにあたる「ジョージ・ルーカス アワード」が、シンガポールのイーウェイ・チャイ監督作『カトンプールでの最後の日』に決定した。
『スター・ウォーズ』のヒットメーカー、ジョージ・ルーカス監督の名を冠した同アワードは、SSFF&ASIAの「インターナショナル部門」「アジアインターナショナル部門」「ジャパン部門」という、3つのコンペティション部門の各優秀賞から選出された1作品に与えられる。壇上に立ったチャイ監督は、上気した表情で「予想外のことに圧倒されております。映画祭の皆さんに感謝します。この喜びを国のみんなと分かち合いたい。夢が現実になったような気持ちです」と喜びをコメント。本作は、次年度の米国アカデミー賞短編部門ノミネート作品の選考対象となる。
『カトンプールでの最後の日』は、幼少期に通っていたプールが解体されることを聞きつけた少年が、過去に感じた魔法のような時間を取り戻そうと願いながらプールへ向かうさまを描く人間ドラマ。審査員の一人リンダ・カンポス・オルシェウスキ氏(映画芸術科学アカデミー短編映画/長編アニメ選考メンバー)は「この作品を観たとき、本当に心温まる気持ちと、ちょっとした悲しみとにあふれているなと思いました」と本作について語った。
SSFF&ASIAにとって記念すべき20回目となる今回は、世界130以上の国と地域から集まった1万本近い作品から、約250作品が選出。コンペ部門審査員は、オルシェウスキ氏のほか、三池崇史(映画監督)、千葉真一(俳優)、本仮屋ユイカ(女優)、モーリー・ロバートソン(ジャーナリスト、ミュージシャン)が務めた。
また、セレモニーの最後には、実行委員会委員長を務める俳優の別所哲也があいさつ。「21年目にして新たなプロジェクトを立ち上げたいと思います。映画界をはじめとして、さまざまな形で女性が何を発信するべきなのか。われわれも向き合いたいと思います」と語り、女性クリエイターを応援する「Ladies For Cinema Project」を発信することを宣言。この日は、女優の木村佳乃も登壇しており「22~23年くらいこの仕事をしていますが、まだまだ女性のクルーは少ないです。少しでも多くの女性と一緒に作品を作りたいと思い、プロジェクトに参加したいと思いました」とコメント。来年以降の映画祭に向けて、さらにパワーアップすることが明かされた。
またアワードの前には、会場の外でレッドカーペットイベントを開催。審査員のほか、中川翔子、武田梨奈、森崎ウィンら豪華ゲストが出席した。(取材・文:壬生智裕)
「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2018」の主な結果
ジョージ・ルーカス アワード:『カトンプールでの最後の日』(イーウェイ・チャイ監督/シンガポール)
インターナショナル部門 優秀賞:『不思議なヤギ』(アンドレーア・ブルーザ監督&マルコ・スコトゥッツィ監督/イタリア)
アジアインターナショナル部門 優秀賞:『カトンプールでの最後の日』
ジャパン部門 優秀賞:『THE ANCESTOR』(小原正至監督/日本)