小栗旬「西郷どん」で見せる“小栗流”の坂本龍馬!
幕末期の偉人として、知名度および人気が抜群に高い坂本龍馬。これまでも数多くの俳優が龍馬を演じてきたが、現在放送中の大河ドラマ「西郷どん」では小栗旬が大役を務める。「いろいろとディスカッションしながら作り上げている途中」と語った小栗の考える坂本龍馬像とは……。
「良いか悪いかは別にして……」と前置きをしてから「以前の大河ドラマは個性的な演出家さんが集まっていましたが、『西郷どん』ではそれぞれの俳優さんに任せてくれる演出家の方が多い印象があります」と今作の撮影現場で感じたことを述べる。
その理由について「(鈴木)亮平くんが積極的にディスカッションしているからかもしれませんが」と語り、「演出部、俳優部がそれぞれ意見を出し合って討論できるのは、いい関係性だと思います」と笑顔を見せる。
実際、今回の小栗の龍馬も、いろいろなアイデアを出し合いながら作り上げているという。「見た目よりも懐の深さをどう見せるかが大事」と核となる部分に触れるが、見た目にも随所にこだわりがある。
一例をあげると、基本的には髪を結わず、刀も小刀は所持していないという設定。「『監督は髪を結わずにいきたい』ということだったので、身分の高い人と会うときだけ、結っているんです。もちろん、薩摩の重役と会うときは髪を結いますが、土佐のお偉いさんと会うときはどうするか。龍馬にとって土佐の上士は憎むべき相手であり、そこで髪を結うのか、結わないのか。龍馬という人物が見えてきたりします」。
政治、経済、文化など多方面で掘りどころが多い坂本龍馬という人物。小栗は「とにかくバイタリティーがすごい。足で赴くしかコミュニケーションが取れない時代に、信じられない数の人と出会い、これだけのことを成し遂げた」と感嘆する。しかし、「もちろん功績はすごい人なのですが、『西郷どん』では日常の生活をしている龍馬を出せたらいいなと思っているんです」と語った。
主演を務める鈴木亮平とは、若いころから芝居仲間として切磋琢磨してきただけに「24歳ぐらいで出会って、一緒にお芝居をしていた人が、大河の主役でど真ん中にいる。人生って面白いなと思います」と感慨深い様子だ。
小栗自身も、大河ドラマは「八重の桜」や「天地人」をはじめ、過去何度も出演経験があり「次は主役だろう」という声も。「もちろんそういう声をいただけることはありがたいですし、そう言ってもらえるうちにやらなければ、チャンスを逃してしまうんだろうなとは思うんです」と小栗は嬉しいような、困ったような表情を見せた。
「でも、亮平くんを見ていると僕には難しいなと思います。本当に大変だと思う」としみじみ語ると「『西郷どん』に参加して感じたのですが、僕はたいして芝居が上手くないんです。3か月ぐらいならいいですが、1年見ると『あれ、期待外れだな』って思われるんじゃないかなって感じています」と自嘲気味に笑った。
それでも「僕らがやっている芝居って、上手い下手ではなく、演じるキャラクターにどう感情移入してもらえるかという部分が大切だと思うので、上手くいけば賞賛されるし、ダメなときもある。そこがまだぼんやりしているので、もう少し頑張らないといけないなとは思っています」と言葉を続けていた。(取材・文:磯部正和)