全米で話題のR指定ホラー『ヘレディタリー』、注目の子役らが魅力を語る
今年のサンダンス映画祭で激賞され、全米批評家サイト Rotten Tomatoes でも90%の評価をされている話題のホラー映画『ヘレディタリー(原題) / Hereditary』について、子役のアレックス・ウォルフとミリー・シャピーロが、6月14日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。
【写真】『ジュマンジ』ではゲームの中でロック様になったアレックス
本作は、家長である祖母の死をきっかけに、自分たちの呪われた運命を知ることになる家族の姿を描いたホラー映画。アニー(トニ・コレット)は、母親が亡くなり情緒不安定の中、娘のチャーリー(ミリー)が超自然的な能力を受け継いでいることに気付く。やがて、家族内で恐ろしい現象が次々と起こっていく。これが長編デビューとなるアリ・アスターが監督を務めた。
アニーの息子ピーターを演じたアレックスは、脚本を読んだ時点ではダークなファミリードラマと解釈していたという。というのも、その時点ではホラーの要素はあまり脚本には記されていなかったからだそうだ。「セリフがとてもよく書かれていたよ。キャラクター同士が言い争いをしたり、途中で狂気的な出来事が起きたりして、地獄のような世界に陥っていくんだ。だから読んですぐに、これまで出演した映画とは全く異なった作品だと感じたよ」と興奮気味に語る。映画内ではピーターがパニック発作を起こすシーンがあるが、そのシーンを脚本で読んでいるだけで、演じることを懸念したほどだったそうだ。
ピーターのキャラクターについては、「彼は(ある事故から)マリファナをよく吸っていて、あらゆる手段で自身の感覚を失わせようとしているんだ。実際、ピーターにはそういった手段で自分の感覚を失わせない限り、(その事故を乗り越える)選択肢がなかったんだ」とアレックス。映画内には恐怖への伏線が多く張り巡らされているそうで、観客はこれらのシーンを観て、これから映画内で起きる出来事への警告であることを認識することになるだろうと付け加えた。また、ティーンエイジャーのキャラクターについて、映画では欠点だらけことが多く、感情を押し殺したような役柄を与えられることは少ないと不満を漏らした。
一方、超自然的な能力を持つ娘のチャーリーを演じたミリーは、純潔な部分もあるが、ぞっとするような要素も持ち合わせているそのキャラクターについて、「(観客が)彼女を気味悪がるのは、道徳的指針が少しねじ曲がっているからなの。つまり、彼女の感覚での善しあしは他の人たちと異なっているから、観客は不快に思えてしまうわけ。それは、普通の人にとっては自然でもないし、正しくもないことだから。ただチャーリーの中では、それは全く気味悪いことではなく、いたって普通のことなのよ」と説明する。また、俳優として、そんな観点でキャラクターを見つめられたことは、とても興味深かったと語り、早くも女優魂を見せつけていた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)