綾野剛『パンク侍』でケガだらけの撮影
俳優の綾野剛が、5日、新宿バルト9で行われた映画『パンク侍、斬られて候』大ヒット御礼舞台あいさつに、北川景子とともに出席。現場の熱量が詰まった初公開のメイキング映像も上映され、綾野は「すごい熱量がありましたね。今までで一番ケガが多かった現場でもあったので」とあらためて撮影を振り返った。
本作は芥川賞作家・町田康の同名小説を、宮藤官九郎脚本、石井岳龍監督のコンビにより実写映画化。規格外の剣豪にして、いい加減な性格の主人公・掛十之進(かけ・じゅうのしん)が、自らがまいた種で起こる騒動に翻弄(ほんろう)されるさまが描かれる。
この日上映されたメイキング映像には俳優とスタッフが一丸となって過酷なアクションに挑む姿がたっぷり収められており、綾野は「ドン・キホーテが風車に向かっていくような。すごい熱量がありましたね」と述懐。
中には、綾野が丘からジャンプしてスタッフに受け止められたり、空撮をしていたドローンが後方から綾野に向かって急降下し、あわやぶつかりそうになる場面も。丘のシーンに北川が「すごいと思いました」と声を上げると、綾野は「あそこは駆け抜ける予定でしたけど、体がジャンプしちゃって」と説明する。
体すれすれまでドローンが迫ったことに、綾野は「(後ろから)明らかにすごい近い距離に来たと思った瞬間にとっさに避けました。何か意地が勝っちゃって、近づいてきていても『すごくいい画が撮れている可能性があるかもしれない』『音にビビっちゃいけない』と思って、風が来た瞬間に避けたらドローンが落ちて」と役者魂を感じさせるコメント。
さらにアクションシーンにスタントなしで挑んだ心境を聞かれると「そんなつもりは……というか、自分がやるものだと思っていたというか。監督も当たり前のように僕ができる雰囲気でおっしゃるので、その雰囲気に乗ってみました」と監督が求めるハードルの高さをうかがわせつつ、「でも、最低限、安全が確保された中でしたし、丘から飛んだのもあのまま下っていく方が転びそうだったので、ついジャンプしました」と謙遜した。
京都では殺陣の際に手をケガしたそうだが、北川はその時の様子を「『ちょっと爪をやられただけだから大丈夫』みたいなことをおっしゃっていて、感覚が麻痺していたのではないかなと……」と心配げ。一方、綾野はメイキング映像で北川が「わたしが一番やりたいのはこういうことだ」とコメントしていたことを引き合いに出し、「それを言った瞬間、もうイカれてるなと思いました」と笑いながら北川にツッコミを入れ、お互いにすっかり現場の熱にあてられていた様子だった。(取材・文:中村好伸)
映画『パンク侍、斬られて候』 は公開中