『君の名は。』スタジオの力で中国を表現したい!『詩季織々』監督の思い
『君の名は。』などの新海誠監督作品で知られる、アニメーション制作会社コミックス・ウェーブ・フィルム(以下、CWF)の新作映画『詩季織々』のジャパンプレミア先行上映が17日、都内で行われた。リ・ハオリン監督は、「CWFは非常に優秀な美術スタッフを有しているので、彼らの力で中国を表現したいと思ったんです」と日本と中国のスタッフが共同制作した本作への熱い思いを語った。
今月7日にアメリカ・ロサンゼルスのアニメ・エキスポ2018でワールドプレミア上映を果たした本作は、中国の都市を舞台に、大切な思いを胸に大人になった若者たちを描き出した青春アンソロジー。日本凱旋(がいせん)上映となったこの日のジャパンプレミアにはリ監督のほか、坂泰斗、白石晴香、大塚剛央、竹内良貴監督が出席。チケットは完売となった。
ステージに立ったリ監督は緊張の面持ちで、「この作品には特別な意味が込められています。ぜひ良い思い出を持ち帰っていただけたらと思います」とあいさつ。本作の成り立ちは、新海監督の『秒速5センチメートル』に衝撃を受けたリ総監督が、CWFと一緒にプロジェクトを進めたいと熱望したことがきっかけになったという。
「中国のアニメ市場は非常に熱くなっているので、ようやく2016年に制作に入りました。この作品の内容についてはディスカッションを重ねました。CWFは非常に優秀な美術スタッフを有しているので、彼らの力で中国を表現したいと思ったんです」(リ監督)
本作には、これまでの新海作品を支えてきた美術スタッフやCGスタッフらが参加。3つの短編のうち「小さなファッションショー」で監督を務めた竹内も、『秒速5センチメートル』よりすべての新海作品に背景美術、CGスタッフとして参加してきたクリエーターであり、今回がオリジナル作品の監督デビュー作となる。
「僕は10年くらい新海さんの下で作ってきました。今回は自分の作品ということで、自分から作らないといけない。(監督とは)なんて大変な仕事なんだろうと思いましたね」と振り返った竹内監督は、「今回はいろんな人とコラボして作品を作ったので、その過程を楽しむという意味でもいい経験になりましたね。(観客から)どういう反応が返ってくるのか、楽しみにしています」と誇らしげな顔を見せた。(取材・文:壬生智裕)
映画『詩季織々』は8月4日よりテアトル新宿、シネ・リーブル池袋ほか公開