クロエ・モレッツ、新作でレズビアンに!新境地を語る
今年のサンダンス映画祭で審査員賞を受賞した新作『ザ・ミスエデュケーション・オブ・キャメロン・ポースト(原題)/ The Miseducation of Cameron Post』について、主演のクロエ・グレース・モレッツが、共演のジョン・ギャラガー・Jr、監督のデジレー・アカヴァンと共に、8月2日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。
本作は、作家エミリー・N・ダンフォースの原作を、アカヴァン監督が映画化したもの。事故で両親を失った高校生のキャメロン(クロエ)は、プロムクイーンと性交しようとした現場を友人に目撃されてしまう。キャメロンが同性愛者であることを知った叔母のルースは、同性愛者を異性愛者に転換するための治療などを行う全寮制の治療施設に彼女を送り込む。ジョンはその治療施設で働くリック・マーシュ神父を演じた。
「どんな状況下に置かれてもユーモアは重要で、いつも正直な物語を(映画を通して)伝えたいと思っている」と語るアカヴァン監督。そんな内容が含まれている今作の原作に惚れ込んだという。「原作自体を読んだのは前作『ハンパな私じゃダメかしら?』(2014)より前だったの。けれど、前作は友人と共に制作できて、経験も積めて、パーソナルな作品だったことから先に手掛けたわ。その後、わたしと共同脚本家のセシリア・フルギュエーレは、もっと複雑でトリッキーなコメディー・ドラマに挑戦するために、今作の原作の版権を獲得したのよ」と経緯を説明。ステップアップを図った今作で、見事サンダンス映画祭の審査員賞を獲得した。
主演のクロエは、幼い頃から映画に出演し、近年では話題作にも出演してきた。だが、大作では自分の(演技での)感情表現を過小評価している気がして、俳優としての能力が満たされていないように感じていたという。「だから、出演予定だった作品を降りて、約1年半休んで読書をしていたわ。その間に、自分自身を見つめ直し、自分が何をしたいのかを考えていたの」。
今作の脚本を渡された際、エージェントから小さな作品で予算もないと言われたが、心の中で何か燃えるものを感じたそうだ。「今作のような、自信はかなりあるけれど、繊細で複雑な女性のキャラクターは、これまで映画で描かれてこなかった気がするの。それに、今作はLGBTコミュニティーにわたしの愛と擁護の機会を与えてくれたわ。アートとエンターテインメントを通してLGBTコミュニティーを描き、みんなに学んでもらうこともできたわ」と満足げに語った。
ジョンが演じたリック・マーシュ神父は、自身は正しいことをしていると思っているが、同性愛者を矯正する施設で働いているため、問題が生じてくる設定だ。そのキャラクターについて「マーシュ神父は、十分な愛をもって描かれているから、僕自身はエミリーの原作やデジレーとセシリアの脚本の内容を、邪魔しないように演じたよ。全ての要素が脚本に記されていたからね」とジョン。「どんな状況下でも、ベストを尽くせる良い心の持ち主だから、良いやつとして演じたかったんだ。神父自身も、毎日を乗り越えるために、良いことをしていると思っているんだ」と、このキャラクターを嘲笑するようなことはしたくなかったと明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)