『Mr.インクレディブル』14年ぶり続編、ラストシーンの直後から始まるワケ!
スーパーヒーロー一家の姿を描いた映画『Mr.インクレディブル』の14年ぶりの続編として、北米ではアニメーション映画史上最大のヒット作となった『インクレディブル・ファミリー』。実際には前作から14年の月日がたっているが、そんなことは物ともせず、物語は『Mr.インクレディブル』のラストシーンの直後から始まる。前作に続き監督・脚本を手掛けたブラッド・バードが取材に応じ、その理由を語った。
【本編映像】『インクレディブル・ファミリー』冒頭のアクションシーン
そもそもバード監督は、第1弾の頃から家族における“典型的な役割”をスーパーパワーとして表現していた。「パパはいつも強くあるべき」ということでMr.インクレディブルこと父ボブのスーパーパワーは怪力で、「ママはいろんなことをやらなきゃいけなくて、あちこちに手を伸ばしている」から母ヘレンは伸縮自在の体を持つ。長女ヴァイオレットのバリア、長男ダッシュの高速、末っ子ジャック・ジャックの未知のパワーにももちろん意味が込められている。
「ティーンエージャーは不安定で自己防衛的であり、ヴァイオレットのパワーはそういうことを反映している。10歳の子供はエネルギーの塊だから、ダッシュのパワーはスピードなんだ。僕があの年齢の頃、他のみんなが僕よりもゆっくり動いているように感じたのを覚えているしね。赤ちゃんには未知の可能性がある。彼には何のパワーもないかもしれないが、全てのパワーを持っているかもしれない。本作におけるスーパーパワーはそうしたことを表しているんだ」。
スーパーパワーが家族における役割や人生におけるある段階を表しているからこそ、どんなに時間がたとうと前作の直後から物語をスタートさせるのは必然だった。バード監督は「(続編決定の報を受けて)しばしばインターネットで、人々が、僕らがキャラクターに年を取らせるだろうと考えているのを見たよ。続編でのダッシュは20代中頃とかだろう、とかね」「だけど、もし彼らに年を取らせたら、彼らはただのスーパーパワーを持った人たちになってしまう。そうした映画はすでにたくさんあり過ぎるから」と本作で描きたかったのはスーパーヒーローではなく、家族の物語だと明かした。
そして『インクレディブル・ファミリー』では父と母の役割が入れ替わり、ボブが家庭で3人の子供の子育てに奮闘し、ヘレンがヒーロー・イラスティガールとして働きに出ることになる。第1弾を完成させた直後からこのアイデアが頭にあったというバード監督は「次は抑制してきた2人の側面を見せることになるだろうと思ったんだ。ボブは実際に彼ができるよりも、家族の面倒を見るという役割を十分に果たせると思っている。ヘレンは彼女自身のプロフェッショナルな側面を抑制してきた。若き日の彼女は1作目の最初のシーンで『わたしが家庭に落ち着くなんてありえない』と言っているしね。彼女のそういう面をまた持ち出すことが出来るのは楽しかったよ」とほほ笑んでいた。(編集部・市川遥)
映画『インクレディブル・ファミリー』は公開中