土屋太鳳主演『春待つ僕ら』少女マンガ実写映画化の舞台裏!<撮影現場レポート>
土屋太鳳が主演する映画『春待つ僕ら』(12月14日公開)。人気少女コミックを映画化した本作の現場取材会が3月に神奈川県で行われ、プロデューサーを務めている春名慶が、ほかの少女マンガ原作作品との“差”について語った。
本作は、脱ぼっちを目指して高校に入学したものの、クラスに馴染めない主人公の春野美月(土屋)が、偶然出会ったバスケ部の四天王に振り回されながら、ともに成長していく青春群像劇。四天王役を、北村匠海、磯村勇斗、杉野遥亮、稲葉友が務める。美月と、美月のことを助けてくれる四天王の1人の永久(北村)、美月の幼なじみ亜哉(小関裕太)との恋の三角関係も描かれる。
まだ寒さの残る季節に、神奈川県にある公園とカフェで行われていた同作の撮影。ロケ地として使用されているカフェは、原作のモデルにもなった大阪にあるカフェ「words cafe」を忠実に再現。カフェの道路越しにある公園には、撮影のために園内にバスケットコートとゴールが設置されていた。この日撮影されたのは、美月と永久が心を通わせるようになるシーン。過去のできごとからあるトラウマを抱えた美月が、永久たちバスケ部の面々に救われるという場面でもある。
北村と土屋のことを、『ROOKIES -卒業-』(2009)などで知られる監督の平川雄一朗は、「何かを持っている人」と表現した。「(土屋が)振り向くカットを初日に撮ったとき、ぞわっとした。普通の人がすると、ただ振り返っただけになる。普通じゃない女優だと思ったので、本人にも言いました。『持ってるから大丈夫だ』と。北村くんの魅力は、本番になると(バスケシーンの)シュートが絶対入る。本番に強いので持ってると思いました。持ってない人は輝けないですけど、2人は持ってる。持つための努力があるからこそ輝いている」。
プロデューサーの春名は、映画『僕等がいた』『ストロボ・エッジ』と少女マンガの実写化を成功させてきた人物。昨今の実写化作品について、「何のとりえもない町娘が、城から降りてきた王子様と『出会うはずがない』というシチュエーションで出会う。でも、王子様は何のとりえもない町娘を愛でて。そこには愛とか恋とか貫き通すヒロインの生きざまがあって、読者あるいは観客が自分をヒロインに同化させて、共感する物語が主流だった。それも食傷気味なのかな」と感じていたという。
今回の作品のこだわりについて、「少女マンガの実写映画化って、帰宅部が多いですよね。部活をしている作品もありますが、大半が帰宅部で、ほとんど授業のシーンもなく、恋ばっかりしている(笑)。その中で今作は、ボーイミーツガールということだけじゃない、仲間や青春、バスケという個性がある。バスケットボールに(四天王の)4人がひたむきに向き合ってるという部分を大切にした」と明かしている。
プロデューサーと監督が口を揃えていたことは、少女マンガが原作となっている本作は恋愛のシーンも大切だが、「バスケのシーンこそかっこよく、説得力がないといけない」ということ。作品の軸となるバスケットボールのシーンで、女性の観客たちに「かっこいい」「青春だな」と感じてもらいたいと意気込みを語っていた。(編集部・梅山富美子)