全米で今年の夏注目のアジア系映画、出演女優を直撃!
現在、映画批評家サイト Rotten Tomatoes で98%の評価を受けている今年の夏の話題作『クレイジー・リッチ!』(9月28日 日本公開)について、8月10日(現地時間)、女優のヴィクトリア・ロークが電話インタビューに応じた。
【作品写真】第3弾も進行中!?『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』
本作は、ケヴィン・クワンの小説「Crazy Rich Asians」を基に映画化したロマンチック・コメディー。ニューヨーク大学で教鞭をとるレイチェルは、恋人のニックが親友の結婚式に出席するため、一緒にシンガポールに向かうが、その道中、彼が不動産王の御曹司であることを知り驚く。シンガポールに降り立ったレイチェルは、二人の交際をよく思っていない彼の母親や元カノと対立し、苦境に立たされていく。監督は『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』のジョン・M・チュウ。ヴィクトリアは、ニックのいとこのエディの妻を演じた。
スタジオ映画で、主要キャスト陣をアジア系が占めた作品は『ジョイ・ラック・クラブ』(1993)以来25年ぶり。ヴィクトリアが1歳のときだったそうだ。「同じ様にアジア人が主要キャストを占める映画が次に公開されるまで、ほぼわたしの人生分かかってしまったのに驚きだわ。ハリウッドで製作されるアジア系の俳優を使った映画となると、カンフー映画、サムライ映画などで、現代の設定でアジア系俳優を扱った映画をあまり観てこなかった気がするの。ハリウッドには、先見の明がなかったと思うわ。だから、アジア人として今作はとても誇らしいわ」と自信をのぞかせた。
今作の見どころの一つに、まるで魔法にかけられたかのように魅力的な結婚式のシーンがある。「あの場所はシンガポールのかなり古い教会で、改築後の今でも実際に古い慣習に沿った結婚式が行われているの。初めて結婚式場のセットに来たときは、驚いて開いた口が塞がらないほどだったわ。教会内は、水田の中にいるような感じの設定にされていて、水が流れ、花も添えられ、さらに蛍に見えるライトも施されたの。古い教会にあのような設定でデザインできて、本当に素晴らしかったわ」。
チュウ監督とのタッグについては、「ケヴィンの原作を映画化すると、(別の監督ならば)安っぽかったり、感傷的になったりしがちだけれど、チュウ監督は主要キャラクターを繊細に捉え、スタイリッシュな映像がとても美しくもあって、決して風刺的な捉え方はしていなかったわ。監督自身は、とてもスウィートで、愛すべき人よ。キャストはかなりの人数がいたけれど、全ての俳優に注意を払っていて、俳優に何を求めるべきかを、どのような状況下でも本能的に理解していたわ」と語った。
また、本作でミシェル・ヨー(ニックの母親役で出演)と共演できたことは、とても名誉なことだったと語るヴィクトリア。「わたしがこれまで出会った人々の中でも、最もエレガントを象徴するような女性で、彼女の演技を見ていると、彼女がいかにカリスマ性を感じさせる女優であるかが理解できたわ。プロデューサー、監督、アシスタントたちにまで親切に接していて、とても寛大な人でもあり、わたしのような若い女優には、まさに模範的存在だったわ」と振り返った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)