ろう者のスーパーヒーロー映画、監督が手話で作品解説!
手話を使い超能力を繰り出す、ろう者のスーパーヒーローを描いた映画『サイン・ジーン 初代ろう者スーパーヒーロー』のジャパンプレミアが14日、イタリア文化会館で開催され、本作の主演・監督・脚本を務めたエミリオ・インソレラが登壇した。自身もろう者であるエミリオは、上映前の約20分間にわたり、映画の製作秘話を語った。
本作は、秘密捜査機関のメンバーであり、“サイン・ジーン(手話を使うことで超能力を発揮する遺伝子)”をもつ主人公トム・クレーク(エミリオ)の活躍を描くアクション。劇中では、アメリカ手話、日本手話、イタリア手話と英語、日本語、イタリア語が用いられており、手話を用いて会話をするキャラクターが多数登場する。
映画には、手話の基本要素やろう者の歴史や文化について言及するシーンが多数存在する。「ろう者について学べる場所が限られています」と話すエミリオは、“映画”を作ることで、それらを学ぶ機会を提供したかったという。
エミリオは「最初は、ドキュメンタリー映画を作ろうと思っていたのですが、それでは内容が重くなってしまうと思いました」と告白。そこで、大衆にも人気がある“スーパーヒーロー”という要素を盛り込むことで、ろう者の歴史や文化を分かりやすく描くことに挑戦したという。エミリオは「みなさんに楽しんでもらいながら(ろう者について)勉強して頂けたらと思います」と観客に向けてメッセージを送った。
彼の言葉通り、映画ではろうコミュニティーの歴史的な人物の紹介や手話の基本知識についてを、ストーリーの中に違和感なく盛り込んでいる。また、『X-MEN』などを彷彿させる特殊能力やアクションシーンも随所に登場するので、ヒーロー映画としても作りこまれた一本となっている。
11月には日本公開も控えている本作。すでに、アメリカから新作映画の製作オファーをもらっているというエミリオは「ろう者の活躍についてもっと気づいてもらえるように、みなさんにも頑張って頂きたいです」と会場に集まったろう者の方々に呼びかけた。(編集部・倉本拓弥)