同性愛“矯正”セラピーの恐ろしい実態…ゲイ男性の回顧録が映画化
第43回トロント国際映画祭
現地時間11日、第43回トロント国際映画祭で、同性愛“矯正”セラピーを経験したゲイ男性の回顧録を基にした映画『ボーイ・イレイスト(原題) / Boy Erased』の上映が行われ、監督のジョエル・エドガートン、主人公の母親役のニコール・キッドマンらがQ&Aに登壇した。
豪華キャストが出演『ボーイ・イレイスト(原題)』フォトギャラリー
主人公は、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でオスカー候補になった若手実力派ルーカス・ヘッジズ演じるティーンエイジャーのジャレッド。息子がゲイだと知った牧師の父(ラッセル・クロウ)と母(ニコール)は、彼を教会がサポートしている同性愛“矯正”セラピーに入れることに。真摯に取り組もうとするジャレッドだが、強制的な懺悔や、憎しみをあおるイジメのようなセラピーの実態に次第に疑問を抱くようになる。
同性愛“矯正”セラピーの多くは何の資格も持たない者によって行われているが放置されており、受けさせられた人々は自殺率が高かったりと深刻な問題になっている。ジョエルは『ザ・ギフト』に続く監督2作目にこの企画を選んだ理由について、「ギャレッド・コネリーの回顧録を読んで、サイドカーに乗って彼の人生を経験している気分になった。とても腹が立ち、心を動かされたんだ。不当な仕打ちやダークな部分もあるが、世界へのポジティブなメッセージがあった。それは愛と家族の物語だった」と説明した。
上映後には盛大なスタンディングオベーションが贈られ、モデルになったギャレッド&母マーサと共に登壇したニコールは感激の涙。ニコールはジョエルから送られた脚本を読んで深く感動し「どんな役でもいいから出演したい」と思ったといい、「つい先日、この映画についてのすてきな記事を読んだの。普段は自分が出ている映画についての記事は読まないんだけどね。それには『この映画は誰かの命を救うだろう』と書いてあった。何て素晴らしいの。友達にこの映画のことを話して、皆で観に行ってほしい」と興奮冷めやらぬ様子で観客に力強く呼び掛けた。
ジョエルは監督・脚本・製作に加え、同性愛“矯正”セラピーを運営する代表役でも出演。そのほかのキャストも、サディスティックなインストラクター役がレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリー、セラピーを受けるジョン役がグザヴィエ・ドランとかなり豪華だ。(編集部・市川遥)
第43回トロント国際映画祭は現地時間16日まで開催