是枝裕和監督、涙のスピーチ 樹木希林さんは「パートナー」
映画『万引き家族』(公開中)の是枝裕和監督が23日(現地時間、日本時間24日)、スペインで開催中の第66回サンセバスチャン国際映画祭(9月21日~29日)で生涯功労賞にあたるドノスティア賞を受賞した。アジア人初の快挙で授賞式に登壇した是枝監督は、先日亡くなった樹木希林さんを思い、涙する場面もあった。
スタンディングオベーションと拍手の中、トロフィーを受け取った是枝監督は、これまでの作品映像がダイジェストで流れると「この20年、自分がやってきたことをこう振り返って、特に2年前に『海よりもまだ深く』という映画で樹木希林さんとこの映画祭を訪れることができて、とても楽しい時間を過ごして。この10年、役者と監督という関係を越えて、パートナーとして映画を作ってきた方なのですが、彼女がついこの間亡くなられてちょっとそのことが、どうしても、ついよみがえってくるので、(受賞は)嬉しいのですが、ちょっと悲しくなって泣いています、ごめんなさい」と涙のスピーチ。その後登壇した主演のリリー・フランキーが、涙ぐんでいる是枝監督にハンカチを差し出し、会場は温かい拍手に包まれた。
過去にはアル・パチーノやフランシス・フォード・コッポラなど名立たる俳優や監督が受賞してきた同賞。「歴代の偉大な受賞者の映像を見ていたら、自分がもらうのは本当に早すぎた」と緊張していた是枝監督だが、「僕はまだキャリア半分であと20年は作ろうと思っているのですが、生涯功労賞というのは生涯でたった一度だけなので2度目はないと思いますが、ちょっと早かったかもね、と言われるくらい、ここからの20年はいい映画を作って、皆さんの前に届けたい」と決意を新たにしていた。
現在パリで新作の準備を進めている是枝監督は、同映画祭にパリから現地入り。日仏合作でカトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークらの出演も話題で、来月からクランクインする。「非常に毎日刺激的な日々を過ごしています。楽しいです」と是枝監督は充実感をのぞかせた。(編集部・小松芙未)